若者を採用できる保育園へ
当事務所が貴園をサポートします。
保育園・こども園・幼稚園・放課後ディサービスなどの労務管理をお任せいただいている、保育の労務管理に強みをもつ当事務所。
保育士・教職員・看護師・保育業界を目指す学生が、「働きやすい」と思えるための、労務管理や採用定着、人材育成などをサポートいたします。
代表 上岡 ひとみ
保育園の服務規律を見直して、保護者の信頼を得ましょう。
「保育園に知的財産なんてありません」と、おっしゃる方がおられます。でも、そうではありません。保育園にも知的財産はあります。
例えば、保育日記の記載方法や給食メニューの工夫など、他園とは一味違う「ちょっとした工夫した何かの積み重ね」が、保育園における知的財産です。
当事務所では、よく保育園で問題になりがちな、守秘義務やSNSの利用ルール、身だしなみ等を、園の経営方針に沿って、「職場のルールブック」を作成すること等によって、文章による見える化を行います。
服務規律を見直すことによって、知的財産と個人情報の保護を図り、保護者の信頼を得ることができます。
賃金表を見直して、他園との差別化を図りましょう。
保育士さんの人材不足や企業主導型保育園などの増加に伴い、新卒人材の人件費が非常に高くなっております。そのため、新規採用のスタート賃金の引き上げるともに、賃金カーブの変更などの措置を行い、総額人件費の検討を見直す必要があります。
また、60歳以上の職員さんの活躍も、保育士不足や経験年数による加算もあり、必要欠くべからざるものです。定年をいくつにするか、定年後の処遇をどうしていくか?保育園の経営方針を加味して、よくよく検討していかなければならない重要事項です。
Issue
保育園が抱える課題
CASE 1 : A園
定員90人と30人の2園を経営しているのですが、企業主導型や無認可など、保育園の施設が増加したために職員の確保に苦労しています。採用に年間300万円ほどの経費がかかっているため、そのお金を別のところにかけられないでしょうか・・。
CASE 2 : B園
企業主導型の保育園を新しく開園しました。採用に苦労したため、職員の退職が怖く、つい会議で「退職の意向を早めに申し出てください」と何度も繰り返してしまいます。職員との信頼関係を築くのに時間がかかりそうです・・。
人手不足を背景に、毎年毎年、ひきあがっていく新卒求人の賃金。他園の採用条件をみると、自園も引き上げざる得ず、苦しい想いをされていませんか?
新卒求人が上がると、園内の賃金の逆転現象、つまり新卒職員が在職職員より賃金がうえという逆転現象が起きることがあります。そうなりますと好ましくありませんので、賃金表を見直しが必要になります。在職職員の給与も上げざる得ず、全体的に賃金が上昇します。賃金の上昇は時として経営を圧迫してしまいます。
多くの保育園で見られるような、公務員準拠型の賃金表では、対応できない時代になっているのではないかと感じています。
一昔前の公務員準拠型賃金表は、二字曲線を描く賃金カーブです。定年前にググっと上昇します。いまは、最初のスタートが高くなっていますので、緩やかな上昇曲線が必要です。
また、期末・勤勉手当(賞与)の掛率も従前を維持できなくなっています。国は賃金上昇を求めています。年間の支給額が同じかそれ以上であれば、期末・勤勉手当(賞与)の掛率を下げることを検討してもいいと思います。
御社の決算書から
適正人件費の算出し、
新たな賃金制度を構築します
新卒初任給が上昇し、人件費によって経営が圧迫されつつあります。そのような現在においては、全員一律に昇給するのは難しいです。年功序列制は維持しつつ、「評価」を取り入れて、「評価」によって昇給(または賞与)を職員ごとに、変えてもよいと考えます。
では、どのような評価がよいのでしょう。
私は、保育園には、民間企業のようなあまりドラスティックな評価は合わないと思います。
「年功序列」は維持しつつ、そこに「評価」を加えます。割合としては、50~80%が、「年功序列」残りが「評価」です。
これらを、半年ごとの期末・勤勉手当(賞与)に反映させるか、一年ごとの昇給に反映させるか、またはその両方なのかは、検討する必要があります。
「評価シート」は一例として、3年未満・3年以上(若手リーダー)・7年以上(中核リーダー)・副主任以上などと、何枚か作成します。
「評価」は、半年ごとに行います。
トップダウン式の「評価」ではなく、一次評価は「自己評価」、二次評価で上司評価を行います。主任保育士を二次評価、園長先生を三次評価としてもよいでしょう。
その際に面談を行い、本人の目指す専門性や、半年ごとの振り返りや、今後の目標について話し合います。その際に、人間関係やパワハラなどの事実がないかも確認します。
TIP. パワハラとは?
職場におけるパワハラとは、、、同じ職場で働く人に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は、職場環境を悪化させる行為をいいます。
2022年6月より、中小企業にもパワハラ防止が義務付けられました。
保育園は主で主に見聞きするのは、主任保育士など権力を傘にパワハラや嫌がらせを行う事案。また、最近多く耳にするのが、部下から上司へのパワハラです。
パワハラが保育園にもたらす損失は、想像以上に大きいです。
パワハラを受けた人は、仕事への意欲や自信を失い、心の健康の悪化につながります。
それを見聞きする周囲の人たちにとっても、仕事の意欲が低下し、よい仕事ができないかもしれません。
パワハラを行った人も、懲戒処分の対象となったり、訴訟リスクも抱えることになります。
「パワハラ」と聞くと、上司から部下へのいじめ・いやがらせを想像しがちですが、後輩から先輩に対する嫌がらせもあります。
筆者が見聞きした保育園でのパワハラの例でいいますと、
主任保育士が、自分の中の良いグループをえこひいきし、敵対するグループのメンバーに掃除や、人がやりたがらない業務を指示したり、勤務シフトの内容など公平性に欠けたものにするなどです。
また、後輩から先輩のパワハラ例でいいますと、
生産性や業務の負担を減らすため、ICTなどを導入した際に、使いこなすのが早い若い保育士が、使いこなすのに時間がかかる年配の保育士に対して、「こんなこともできないんですか?」「何度教えたらできるんですか?」などと、発言したそうです。
職員の採用と定着に取り組んでいる保育の現場で、上記のようなパワハラを許すことがあっては、断固としてなりません。
それでは、どのような取り組みをするとよいのでしょうか?
①まず、経営者が「うちの園では絶対に、ハラスメントは許さない」という決意表明をいたしましょう。
②そして、そのようなことが起きた場合のルールを就業規則などに記載しましょう。
③無記名のアンケート調査などを行い、「隠れハラスメント」がないか、実態調査を定期的に行います。
④研修やグループディスカッションなどで、定期的に、認知・教育を行いましょう。一度で終わらずに、定期的に行いましょう。
⑤ハラスメントの相談窓口をみんなに周知しておきます。
パワハラを行う人は、行為や発言が「パワハラ」の認識がない人が多いので、まず、どのような発言・どのような行為がパワハラに該当するのか、正しい理解をすることから始めましょう。
そもそも、保育現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)とは、情報技術(IT)やデジタル技術を活用して、保育サービスの提供方法や運営を効率化、最適化する取り組みです。DXの目的は、保育の質の向上、業務プロセスの効率化、そして保育士の労働環境の改善にあります。
保育士の仕事は感情労働が大きな部分を占め、その精神的な負担はしばしば高い離職率につながっています。この問題に対処するために、保育のICT化が注目されており、これによって効率化だけでなく、職場環境の改善が期待されています。
ただ、保育士の先生方には、これらのシステムになじめないという先生方も多く、どのように補完していくか、なやましい問題も一方にはあります。
離職率を下げるための取り組みが、離職を促しては元も子もない訳です。そこには園ごとの在職している先生方の個性や考え方などを尊重したうえでの取り組みが必要となります。他園のICT成功例が、自園の成功につながらないこともあります。結局自園で創意工夫を重ねていくしかないのだと思います。
そして、忘れていけないのは、ICTは職員さんの負担軽減を図るツールです。負担軽減を図るつもりが職員さんの負担になっていないか、確認すべきです。「手段の目的化」、誰にでもおこることです。
令和6年度の処遇改善加算は、ギリギリまで書式などの公表がなく、どの園もかなりバタバタしたようです。大改正や小さな改正を繰り返し、ほぼ毎年、改正される処遇改善加算。どんな対応がよいでしょうか?
私は、処遇改善加算の主要な部分を、就業規則に記載し、それ以外の詳細については、「労使協定書」で定めて、職員さんに周知してもらっています。
賃金に関することなので、就業規則の絶対必要明示事項となっていています。ざっくりと就業規則に記載することで、就業規則届出の煩雑さを省いています。
そして、細かい改正については、労使協定で定めます。労使協定で、毎年の改正に対応しています。処遇改善加算のQ&Aなどにも、『「就業規則等」で定める』となっています。
保育園は、女性が多い職場です。現実問題として、女性は、出産・育児・介護などのライフステージの影響を大きく受けやすいです。
出産を機に正職員から非常勤職員の切り替えなどの希望が出ることがあります。育児短時間制度なども活用して、正職員で居続けてほしいという園側の希望もあると思いますが、本人が非常勤を希望する以上、園側も応える必要があります。
働く人が少ない現在においては、正職員と非常勤の間を自由に行き来できるような柔軟な組織体制を作る必要があるのではないかと思います。
また、職務職責などに応じ、非常勤パートと正職員の間に、一つか二つ、区分を作るのも有効ではないかと考えます。
A園の事例
呼称 | 労務相談 | 待遇 |
---|---|---|
職 員 | 有資格者で早番遅番を含めたすべてのシフトに対応可能 | 基本給・一部手当を含めた〇カ月分の賞与あり |
常勤職員 | 有資格者でフルタイム勤務・土日出勤不可 | 賞与は20万円程度 |
非常勤職員 | 短時間勤務 | 賞与は金一封程度の定額 |
B園の事例
呼称 | 労務相談 | 待遇 |
---|---|---|
職 員 | 有資格者で早番遅番を含めたすべてのシフトに対応可能 | 基本給・一部手当を含めた〇カ月分の賞与あり |
常勤Ⅰ | 有資格者で定型時間での出退勤 | 賞与は15万円程度 |
常勤Ⅱ | 無資格者ですべてのシフトの勤務可能 | 賞与は所定労働時間に応じて定額 |
非常勤職員Ⅰ | 有資格者で短時間勤務・土日早番遅番可能 | 賞与は所定労働時間に応じて定額 |
非常勤職員Ⅱ | 無資格者で決まったシフトのみ勤務可能 | 金一封程度 |
人手不足もあり、無資格者でも人柄がよく保育に適した人材であるならば、保育園が資格取得を支援する園もあります。
また、ライフステージに応じて、保育士の女性が望むような働き方を支援し、あるライフステージに到達したら、正職員に戻ってもらうという、正職員と非常勤の間を行き来しやすいような人事制度やキャリアパスが望まれています。
柔軟な組織体制を構築し、職員さんの定着を支援し、あたたかい保育を提供できるように額に汗してみましょう。
注意点としては、同一労働同一賃金です。
非常勤であっても、正職員と同等の仕事をしているならば、基本給については、同じ等級の正職員の月額を時間給に換算する。しかし、土日の出勤がない、早番遅番がないなど、職責が正職員よりも小さいので、換算額に×0.8とか、0.6にするとか、期末勤勉手当(賞与)などで、差をつけていくということも、制度設計に見落とせない注意点です。
① 身体的虐待:
保育所等に通うこどもの身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
② 性的虐待:
保育所等に通うこどもにわいせつな行為をすること又は保育所等に通うこどもをしてわいせつな行為をさせること。
③ ネグレクト:
保育所等に通うこどもの心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、当該保育所等に通う他のこどもによる①②又は④までに掲げる行為の放置その他の保育所等の職員としての業務を著しく怠ること。
④ 心理的虐待:
保育所等に通うこどもに対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の保育所等に通うこどもに著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
①②については、防犯カメラなどで防ぐことが可能かもしれませんが、③④については、物理的な対応は難しいです。
また、防犯カメラのデメリットも大きく、園によって対応が分かれるところだと思います。
デメリットの一例としては、
① 保育士の負担
常に「見られてる」というのは、子供たちと真摯に向き合う心理的負担になることも…。
② 子どもたちの尊厳
自分たちが子供であったことを思い返せば、親に知られたくないこともあります。できてなくても、「おかあさん、できたよ」といいたいこともあるものです。
③④については、職員さんが行っていても、証拠を押さえにくいです。当事務所の事例としては、職員さんに無記名のアンケートを行ったことがあります。園内ですと、筆跡で誰の文書かわかります。今はGoogleフォームという便利なツールもあるのですが、対応できない高齢の職員さんも多いというので、紙によるアンケートをおこないました。筆跡で誰がだれかわからないように、当事務所で取りまとめて、どの職員の意見かをわからないようにフィルターをかけて、園長先生にご報告したという事案があります。
また他の園では、私が職員さんとの個別相談をおこない、誰の意見かわからないように③④以外(職員間コミュニケーションや、日ごろ不安に思っていることなど)も含めて、総合的に報告したという実績などもあります。
常日頃、職員研修などを通じて職員への周知を図っていると思います。しかし、このような虐待行為を行う職員は、虐待行為を虐待行為と思っていないところに、難しさがあります。
センシティブな問題ですので、取り扱いには注意が必要ですが、断固とした態度で臨む必要があります。
保育園からの相談で時折あるのは、保護者からの暴言が原因で、職員さんが精神疾患に陥ってしまったという御相談です。
- 精神疾患の場合は、業務上明らかである場合は労災給付の適用対象となります。
- 園には、安全配慮義務があります。精神疾患に陥った職員さんは、園に対して「安全配慮義務違反」として、民事賠償請求が可能です。(保護者からの暴言が不適切であれば、保護者に対しても損害賠償請求が可能)
当事務所の事例の一つとしてはこのようなことがありました。
ある園で、お迎えに来る父親が、迎えに来るたびに、
「こんな寒々しい格好をさせて、どんなつもりで保育をしているんだ。お前の母親はどんな育て方をしたんだ。」
「なんでこんなに靴が汚れているんだ。ちゃんと見ていたのか」などと、暴言を繰り返したそうです。
その職員・Cさんからの申し出を受けて、園長先生は、職員の配置替えなどおこなったそうですが、当該職員Cさんは、適応障害を引き起こし、朝が来ると動悸がして、出勤できなくなってしまいました。
3か月間、傷病手当金を受けてもらい、休職していただきました。
保育園側は復職を望みましたが、保育士Cさんは退職を強く希望されて、退職となりました。
このような場合は、初動対応の遅れが響きますので、日ごろから職員研修などを通じて、保護者の暴言などがあった場合は、すぐに主任保育士や園長先生に報告してもらうことを徹底するべきだと思います。中には我慢に我慢を重ねてしまう職員さんもいますので、本人の言い分だけを信じないで対応することも大切です。
また保護者の中には、事実無根のことで、保育士や園の対応を責める方もいます。その場合は市町村に対して、園側から積極的に相談していくことが必要な場合もあります。
適切な労務管理で、自園の職員さんの雇用を守りましょう!
保育園の“業界アルアル問題”として、「休憩がとれない」という問題があります。
労働基準法第34条において、労働時間が 6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分 8時間を超える場合は、少なくとも1時間の休憩を与えなければならない、と定められています。
休憩時間を取れないからと言って、残業代を支給すればいいかというと、労働基準法119条において、6カ月以下の懲役、30万円以下の罰金となっていますので、注意が必要です。
うまく休憩をとれている園に「どうやってますか」と、お伺いしますと、①休憩室を設ける ②シフトで45分と15分に分けて、休憩時間を交互にとる ③1時間ゆっくり休める日や外食もできるような勤務日を設ける、などなど、うまくいっている園は色々と創意工夫をこらしていらっしゃいました。
規模が小さい園ほど、この問題のクリアは難しいと思料します。創意工夫で、理想に近づく努力を続けてみましょう。職員さん達は、きっと、園長先生の努力の背中を見てくれています。
コロナ2類相当後はインフルと同じ取り扱いになります。
季節性のインフルエンザやコロナウィルスに感染した職員に対して、「休職発令」をするかどうかは園のルールによります。特に法律の規定はないからです。
5類・新型コロナウィルスで職員が罹患した場合、私が知っている限りは、顧問先40園のほとんどの園で保育園側が給料を全額補償し、職員の休業に対応していました。しかし、2類相当移行後もこれを続けることは、職員さんの既得権益になる可能性がありますので、慎重に取り扱うべきだと考えます。
しかし、一方で、インフル・コロナなど感染症に、罹患した職員に出勤してもらっても、園としては困ります。
それではどう対応すべきでしょう?
TIP. 就業規則において就業禁止規定を設けよう!
規定例)
-
第61条 (病者の就業禁止) 事業者は、次の各号のいずれかに該当する者については、その就業を禁止しなければならない。ただし、第一号に掲げる者について伝染予防の措置をした場合は、この限りでない。
①病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかつた者
②心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのあるものにかかつた者
③前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるものにかかつた者 - 職員は同居者が感染の恐れのある疾病に罹患した場合、またはその恐れがある場合は、直ちに園に届け出て、必要な措置を講じなければならない。
- 就業禁止期間中の賃金は発生しない。
休業期間中の賃金をどうするかは、園長先生も悩ましい問題です。
しかし、私は働いている方と、休んでいる方の均衡処遇ということを考えると、賃金控除または、有給申請がよいのではないかと考えます。
小さいお子さんを抱えている保育士先生は、どうしてもこういう休みが多くなりがちです。職員さん同士助け合いの精神で乗り切らなくてはいけないのですが、特定の人に負担が増えすぎても、不平不満の種になります。
賃金を払わない(有給申請はOK)、でも休みやすい環境を整えることで、全体最適が図れるのではないかと考えます。
特に若い熱心な職員・Dさんの持ち帰り残業に困っています。と、相談を受けました。
若くてとても熱心な職員さんがいるようで、お遊戯会の衣装を自宅に持ち帰って裁縫しているそうです。
園長先生が「持ち帰り残業」について注意すると、
Dさんは、「園長先生! 私は残業代が欲しくてやっているんではないんです。子供たちのかわいい姿が見たいだけです。放っておいてくださって大丈夫です。私に自分に納得できる仕事をさせてください」
……若い先生の純粋な熱意の気持ちを、「だめ」のひとことで無碍にもできず、ホトホト困って、私のところに相談の電話がありました。
①持ち帰り残業に関する法的なリスクを解説します。
②職員の、「成長を願って」のひとつの考え
①持ち帰り残業は、残業時間に該当するか?~安全配慮義務~
持ち帰り残業を上司が黙認する場合や、部下の仕事が勤務時間中に終わらないと知っていて、上司が持ち帰りを黙認する場合は、「黙示の指示命令」といい、残業とみなされます。
今回のケースは、上司が求めていないクオリティーを本人が求めての自主的な持ち帰りですので、残業に当たらない可能性が高いといいつつ、業務に付随するところですので、安易に「該当しない」とも言い難いです。
しかも、持ち帰り作業時間は、具体的に分かりません。相当時間作業をしていて、健康被害などがあれば、園は「安全配慮義務」を怠った責任は免れません。
安全配慮義務とは、職員さんの健康と心を守るための経営者サイドの配慮義務です。
また、作業中に、怪我をした場合の労災給付はどうなるのかの問題。
例えば、今回の事例を園が認めてしますと、D先生以外の職員にも、持ち帰り残業が波及しかねません。例外を認めてしまうことは、持ち帰り残業が、恒常化してしまう危険性をはらんでいます。
働き方改革によって、経営者は職員の勤務時間の把握義務が義務化されています。法的なことを考えると職員の持ち帰り残業は認めるべきではありません。
②職員の成長を願って
園長先生には、職員の真摯な気持ちを理解していただけたいです。
今回の件は、業務上、求められる以上のクオリティーを本人が求めた結果です。「自己満足」と言い捨て、職業人としての成長を阻害することになってほしくないとは思います。
しかし、保育がチームプレーである以上、「妥協」が必要なことも学ぶ必要があります。
特に今は生産性が求められる時代ですし、ワークライフバランスも大切です。
まず園長先生は、若い先生の真摯な気持ちは認めてあげてください。「あなたの保育にかける情熱は、すばらしい」
でもね、、、①あなたの体も大切 ②仕事と家庭を切り分けることも、充実した職業生活を長く続けていくために必要不可欠 ③園の姿勢として持ち帰り残業は認めていない ④チームプレーだから、一人だけの無理は禁物 などなど、、
の多視点でD先生とお話してみていただきたいです。
国立大学を卒業した管理栄養士F先生、アスペルガーの疑い
春、国立大学を卒業して、保育園E園の管理栄養士として就職したF先生。アスペルガーではないか、というご相談を受けて、顧問先Eを訪問しました。
管理栄養士F先生は、優秀な成績証明を持ってきたそうです。
しかし、材料注文ができない、料理ができない、アレルギー食を間違える、記録がつけられない。つまり、資格はあれども実務がまるでできないわけです。
お金と人員に余裕があれば、管理栄養士として献立を立てるだけの人において、他の職員で現場を回すこともできたかもしれません。
しかし、その保育園は定員30名の小規模保育園。「献立立てるだけの人」においておくこともできない実情がありました。
園長先生と調理補助の方の必死のアシスタントがあり、現場はなんとか、回りましたが、
園長先生と補助調理師の方が、一番問題視したのが、記録です。
管理栄養士の業務の一環として、「様々な記録」です。
ご存じの通り、「給食材料発注表」や、「保育所給食日常点検票」など、様々な「記録」が存在します。
園長先生は、『現場はしばらく、アシストするから、「記録」だけはお願いね』、と言い続けました。
しかし、記録は、日々溜まっていきます。
E園長先生の「大丈夫? 大丈夫?」の問いかけに、
F管理栄養士は、「大丈夫です。大丈夫です」を言い続けて、
ついに手に負えなくなって、6か月後に退職していきます。
6か月分の記録は、手付かずのまま残されています。
…誰に責任があったのでしょうか?
もちろん、管理栄養士Fさんの責任です。
しかし、E園長先生に責任がなかったかというと、そうともいいきれません。
同様の事例は、他産業でも別事案でも、起こり得ます。
その際は、従業員ができるところまで、経営者サイドが下りてきて、どこで詰まっているのか確認する必要があります。またスケジューリングの管理までする必要もあるかもしれません。
園長の職責を果たしつつ、管理栄養士Fのアシスタントをして、疲弊しているE園長にそこまで求めなければならないのも、気の毒な話です。
「大丈夫? 大丈夫?」
「大丈夫です。大丈夫です」
現在217社の顧問先を持つ、上岡は様々な事案を見てきて、……とても危険です……と、いわざるを得ません。
どう大丈夫なのか、何でつまっているのが、確認する必要があります。
職員の力量を諮り、上司の配慮をしていかなければならないのです。
職員の力量が資格に見合っていないなら、職務範囲の見直しや、本人と話し合いの元で合意による、労働条件の切り下げなども検討すべきと考えます。
定年60歳・継続雇用65歳。退職金はいつが良いですか、これもよくいただく質問です。
退職金には様々な制度があります。
中退共・小規模企業共済・特定退職金共済・401K・ポイント積立制度などです。社福の保育園では、独立行政法人福祉医療機構・社会福祉施設職員等の退職手当共済制度をよく見かけます。NPO法人や企業主導型では、昨今新しい退職金制度も見かけるようになってきました。
それぞれの特徴を理解して、自施設に合う運用制度を設計していくべきと考えます。
それぞれの特徴については、他に譲るとして、
定年60歳・継続雇用65歳。退職金はいつが良いですか?という、質問に戻ってみましょう。
退職する職員さん本人に、定年の60歳時点でもらうのが有利か?
継続雇用終了の65歳時点でもらうのが有利か、というお話ですが、
社福の保育園では、独立行政法人福祉医療機構・社会福祉施設職員等の退職手当共済制度でいいますと、賃金の高い方(多くの場合では60歳時点)で、受給するのが有利です。
理由は最後にもらう給与を基準にして、退職金が算出されるので、継続雇用時の65歳時点は賃金が低下するのが大多数ですので、一般的に言うと、60歳時点という答えになりそうです。
現在、円安ドル高が進み生活費が高騰しています。積み立てておいた退職金が目減りしていくという、戦後初の事態といえます。このような状況下においては、退職金制度の在り方も見直されて当然と言えます。
筆者は、今後は、勤務に比例する退職金制度がよいのではないかと考えています。
保育士は肉体労働です。子供たちを抱っこやおんぶをしながら、勤務時間を過ごします。
本人がつわりで具合が悪い場合、どのように対応したらよいでしょう。
労働基準法第65条3項によりますと、妊娠中の女性が、他の軽易な業務に転換を希望した場合は、他の軽易な業務に転換しなけばなりません。本人の希望があった場合に限りますので、希望がなければ必要ありません。
個人的な事情で経済的理由で、体に負担をかけながら業務継続したいという場合は、休職を勧めるのも必要かもしれません。健康はお金に代えられませんので、、、
個人差や価値観の違いもありますので、話し合いながら検討しましょう。
他の軽易な転換例としましては、
〇事務職と交代してもらう
〇補助業務にまわってもらう
〇補助職をつけて、保育日誌やお便りなどの事務業務を主にしてもらう
などです。
顧問先でたまに聞きますのが、「妊娠ラッシュで、嬉しくて嬉しくて、、、でも大変なんです~~(笑)」
20人の職場で3人が妊娠で、配慮が必要となりましたら、シフトを組むのも大変だと思います。
でもきっと、妊娠出産を終えた先生方が、5年後は大きな力になってくれると思います。様々な知恵と行動で乗り切ってまいりましょう! がんばろー!!
地震・台風・津波・大雪など、自然災害時の休業手当支払いの有無の判断基準<一般企業>
警戒レベル4相当以上 休業期間中の賃金支払いは不要です。
警戒レベル3の時は、従業員への安全配慮(労契法)の観点から休業する場合は、賃金の支払いは不要。
使用者の責めに帰すべき事由の場合は、賃金の支払いが必要です。
〇国土交通省・気象庁・都道府県等が出す警戒レベル
警戒レベル | 取るべき行動 | 休業補償の有無 | |
---|---|---|---|
警戒レベル5相当 | 命の危険が迫っているため直ちに身の安全を確保 | 休業期間中の賃金支払不要 | |
警戒レベル4相当 | 危険な場所から避難 | ||
警戒レベル3相当 | 普通の行動の見合わせ避難の準備 | 従業員の安全配慮義務の観点からの休業 | 休業期間中の賃金支払不要 |
使用者の責めに帰すべき休業 | 平均賃金の6割(以上)の休業手当支給必要 | ||
警戒レベル2相当 | 災害想定区域や避難先、避難経路の確認 | 平均賃金の6割(以上)の休業手当支給必要 |
尚、行政から警戒レベルの発表がなくとも会社が各警戒レベル相当と判断した場合には、その判断に従った対処が必要です。
利用者の子供たちを守るために、経済産業省の「保育園の災害マニュアル」などを参考に、それぞれの保育園で「災害マニュアル」是非策定していただいていると思います。
利用者と保育士には、異なる基準があってもいいと思います。一般企業の場合の「各警戒レベルの判断」、参考にしてみてください。
休業手当とは、会社側の都合(使用者の責に帰すべき事由)により、労働者を休ませた場合に支払わなければならない、平均賃金の6割以上の額の手当です(労基法第26条)
会社の都合とは、使用者側に起因する経営上の障害も、会社側の都合に該当します。ただし、天災事変のような不可抗力の場合を除きます。
たとえば、親会社の経営難に伴う休業業務量減少に伴う休業などが該当します。
休業手当の計算式は、原則として平均賃金の60%を支給します。
平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前の3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額のことです(労基法第12条)。
算定期間中の賃金総額 ÷ 3か月間の総日数(暦日数)×0.6
※日給制や請負制の場合など、例外もありますので、別途ご確認ください。
労務相談・年間12000件、
弁護士案件0件
Strength
当事務所の強み
保育園の顧問先が40園
保育園の成功事例や失敗事例をが豊富に持っています。また、年間12000件の労務相談を行っている当事務所だからこそ、適切な回答が得られます。
保育園特有の労務管理や悩みを相談できます
人の採用や、労務管理、特殊な保育園の労務管理の悩みに寄り添えます。貴園が選ばれる園になるためのサポートを行うことができます。
採用・定着支援や、園内人財育成研修も任せることができます
手続き・労務相談・給料計算はもちろんのこと、採用・定着の支援、各種園内の研修も任せることができます。例えば、リーダーシップ、報・連・相、ハラスメント研修などを行います。
思いやりをもったサポートを致します
『会「社」経営の苦「労」をもっともわかる「社労」士事務所でありたい』をキャッチコピーに掲げている当事務所は、園長先生の悩みに寄り添い、提案します。
レスポンスが早い
当事務所は、チャットワークで2営業日以内に、ご回答をさし上げます。
度重なる処遇改善加算規程を含めた就業規則の作成します
処遇改善加算規程はじめ、職場のルール作りのお手伝いを致します。
Service
サービス
Adovisory
労務相談プラン
保育園運営に必要な人事・労務管理に関する様々な問題を解決するためのアドバイスを行います。
STANDARD
手続き代行プラン
労働保険・社会保険手続を正確かつ迅速に行い、園長先生や人事労務担当者の業務に関する負担を減らします。
Premium
コンサルティングプラン
数多くの保育園現場の支援経験を基に選ばれる保育園になる為の採用・定着・育成に関する助言をいたします。
コメント
園舎も改築なさり、外国人雇用もされて子供たちの英語教育に力をいれるなど、利用者のために日々、頑張っておられます。地域生活の支え手としてなくてはならない存在です。認定こども園として、ますます重要拠点となることを期待しています。