「防衛的賃上げ」…でもね、ただ賃上げするだけでいいの?
「防衛的賃上げ」…でもね、ただ賃上げするだけでいいの?
戦略的な視点が必要では??
顧問先様とお話していると、儲かっていての賃上げではなく、
大手企業が賃上げの余波をうけて、他社から引き抜かれないための
「防衛的賃上げ」の話が多数出ます。
ある企業さんでは、経営再建中であるにもかかわらず、
職員を引き抜かれないための「防衛的賃上げ」行いました。
私は顧問社労士として、
基本給を上げるだけの、ただの賃上げには反対しました。
賃上げ部分を固定残業代に設定することをお勧めました。
賃金引き上げは、従業員さんにとっては良いことです。
しかし、「人件費」は、企業にとって最大の経費でもあります。
人件費に付随する社会保険料率も上がっています。
法定福利厚生費も含めた人件費は、膨大です。
その一方で、人手不足の問題も深刻です。
残業がないホワイト企業であるのが一番ですが、
人手不足もあり、残業のない中小企業は、存在しないのではないでしょうか?
給料を上げると、当然、残業の単価も上がることになります。
しかし上記のような再建途上にあり、
経営的に厳しい企業は、「防衛的賃上げ」と、どう向き合えばよいのでしょうか?
残業代を支払わないというのは、
さすがにまずいと思います。
民法の改正で、
未払い残業代の時効が2年から5年に伸びました。
労働基準法では、「当分の間3年」です。
裁判になった場合、
できる弁護士なら、5年で争ってくるのではないでしょうか?
現在において、未払い残業代のリスクは、会社の屋台骨を揺るがしかねないのです。
このような場合、私がお勧めしたいのは、「固定残業代」です。
「固定残業代」とは、一定の残業時間分をこの手当に含めます。
「一定の残業時間」を超えた場合は、別の支給が必要です。
「一定の残業時間」に満たない場合は、固定残業代は減らさずにそのまま支給されます。
残業がなく帰ることができると、従業員さんはお得となります。
防衛的賃上げを固定残業代へ
「賃上げしてないじゃん、ただの残業代支給じゃないか」
という突っ込みの声は聞こえてきます。
確かにそれは、そのとおりです。
当該企業は、再建途上にある経営的な厳しい企業でしたので、
固定残業代を設定して、従業員の手取り額は上がるような賃金体系に組みなおしました。
それにより企業の残業代不払のリスクも減らすことができました。
2年かけて、経営再建が終われば、本当の賃上げができると思います。
頑張っていらっしゃるので、
経営再建、きっとうまくいきます。
顧問社労士として、見守ってまいります。