小規模事業者持続化補助金の新型コロナ特別対応型について

2023年10月31日

 はじめに

小規模事業者持続化補助金は、個人事業主や創業間もない会社も活用しやすい補助金です。持続的な発展をしていくための設備投資や販路開拓などの取り組みに対して補助されます。

新型コロナウイルス感染症による影響が長引くなかで、とりわけ小規模事業者は非常に厳しく苦しい状況です。これを受けて、小規模事業者持続化補助金の特別枠が設けられており、従来に比して補助上限額の引き上げなどの措置がなされています。

今回は、この小規模事業者持続化補助金コロナ特別対応型の対象や申請方法などについてご紹介していきたいと思います。

1、補助対象者

・小規模事業者
小規模事業者に該当するかどうかは従業員数により、商業・サービス業では58人以下、製造業では20人以下などと定められています。

・サプライチェーンの毀損への対応、非対面型ビジネスモデルへの転換、テレワーク環境の整備のいずれかに取り組む事業者。

2、補助金額、補助率

・補助金額=100万円
・補助率=3分の2

3、補助対象事業

⑴策定した経営計画に基づいて実施する、地道な販路開拓や生産性向上のための取り組みに対して補助されます。販路開拓や生産性向上の取り組み事例として以下のような内容があげられています。

・新商品を陳列するための棚の購入
・新たな販促用チラシの作成、送付
・新たな販促用PR(マスコミ媒体での広告、ウエブサイトの広告)
・新たな販促品の調達・配布
・ネット販売システムの構築
・国内外の展示会、見本市への出展、商談会への参加
・新商品の開発・新商品開発に必要な図書の購入
・新たな販促用チラシのポスティング・国内外での商品PRのイベントの実施
・ブランディングの専門家から新商品開発に向けた指導や指導を受ける
・新商品開発に伴う成分分析を依頼
・店舗改装(小売店の陳列レイアウト改良、飲食店の店舗改装を含む)

⑵助対象経費の6分の1以上が次のいずれかに合致する投資とする必要があります。

イ、顧客への製品供給を継続するために必要な設備投資や製品開発を行うこと(サプライチェーンの毀損への対応)
たとえば製品の安定供給を継続するため、設備投資を行うための投資、コロナの影響により増産体制を強化するための設備投資、他社が営業停止になったことに伴い新製品生産要請に応えるための投資

ロ、非対面・遠隔でサービスを提供するためのビジネスモデルへ転換するための設備・システム投資を行うこと(非対面型ビジネスモデルへの転換)
店舗販売している事業者が新たにEC販売に取り組むための投資、店舗でサービスを提供している事業者が新たにVR等を活用してサービスを提供するための投資、有人で窓口対応している事業者が無人で対応するための投資、有人でレジ対応している事業者が無人で対応するための投資

ハ、従業員がテレワークを実践できるような環境を整備すること(テレワーク環境の整備;補助対象期間内に少なくとも1回以上テレワークを実施する必要があります)
WEB会議システムやクラウドサービスの導入

⑶商工会または商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること

⑷以下に該当する事業を行うものではないこと

・国の助成金・補助金と重複する事業
・概ね1年以内に売り上げにつながることが見込まれない事業
・公序良俗に反することとなる恐れがあるもの

4、補助対象となる経費

・機械装置等費:事業の遂行に必要な機械装置等の購入に要する経費
・広報費;パンフレット・ポスター・チラシ等作成のためおよび広報媒体を活用するために支払われる経費
・展示会等出展費;新商品等を展示会に出展または商談会に参加するために要する費用
・旅費;事業遂行に必要な情報収集や各種調査を行うためおよび販路開拓等のための旅費
・開発費;新商品の試作品や包装パッケージの試作開発に伴う原材料、設計、デザイン製造、改良・加工のために支払われる経費
・資料購入費;事業遂行に必要不可欠な図書等購入するために支払われる経費で単価10万円未満のもの
・雑役務費;事業遂行に必要な業務・事務を補助するために補助事業期間中に臨時に雇入れたアルバイト代、派遣労働者の派遣料交通費として支払われる経費
・借料;事業遂行に必要な機器・設備等のリース料・レンタル料として支払われる経費
・専門家謝金;事業遂行に必要な指導・助言を受けるために依頼した専門家等に謝金として支払われる経費
・専門家旅費;事業遂行に必要な指導・助言等を依頼した専門家等に支払われる旅費
・設備処分費;販路開拓の取り組みを行うためのスペースを拡大する等の目的で事業者自身が所有する死蔵の設備機器等を廃棄・処分するまたは借りていた設備機器等を返却する際に修理・原状回復に必要な経費
・委託費;事業遂行に必要な業務の一部を第三者に委託(委任)するために支払われる経費(市場調査等についてコンサルティング会社等を活用する等自ら実行することが困難な業務に限る)
・外注費;事業遂行に必要な業務の一部を第三者に外注(請負)するために支払われる経費(店舗の改装・バリアフリー化工事・製造・生産強化のためのガス・水道・排気工事・移動販売等を目的とした車の内装・改良工事等自ら実行することが困難な業務に限る)

5、申請に必要な書類

イ、小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(様式1-1)
ロ、経営計画書(様式2)
ハ、支援機関確認書(様式3)地域の商工会または商工会議所が発行するもの
二、補助金交付申請書(様式4)
ホ、電子媒体(様式を記録したCD—R・USBメモリ等)
へ、貸借対照表および損益計算書(直近1期分)=法人の場合
ト、近の確定申告書または廃棄届=個人事業主の場合

6、基本的な手続き

ステップ1、経営計画書(様式2)を作成する。
ステップ2、経営計画書(様式2)の写し等を地域の商工会または商工会議所に提出し、支援機関確認書(y様式3)の作成・交付を依頼する。
ステップ3、後日地域の商工会または商工会議所から「支援機関確認書」(様式3)を受け取る。
ステップ4、受付締切までに必要な提出書類等をすべて揃え補助金事務局の住所まで郵送により提出する。

7、概算払いによる即時支給を利用する場合

一定の売上が減少した小規模事業者(前年同月比20%以上減少)が希望し一定の要件を満たす場合は、交付決定を受けた後に概算払いによる即時支給(交付決定額の50%)を受けることができます。
これを受けるには、申請時に「概算払請求書」と市区町村が発行した売上減少証明書を提出する必要があります。

今回は、新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えて、販路開拓や売上拡大に取り組む小規模事業者を対象とした「持続化補助金」のコロナ特別対応型についてご紹介して参りました。
小規模事業者持続化補助金は、地域の商工会または商工会議所の助言・指導を受けながら取り組むことができるので、初めて補助金を利用する方でも活用しやすい補助金であると言えます。