「切らない!」植木屋に学ぶ人財育成の知恵

旧鹿児島県庁本館

もし、職場の中で、伸び悩む社員が「独活の大木」になってしまったら

社会保険労務士として日々様々な企業の相談に携わる中で、「問題のある職員を解雇したい」という相談を受けることがあります。しかし、そこに至るまでには、経営者側にも見直すべき点があるのです。

もちろん職員さん自身も、日々自省し見直していくべきではあります。
職員は一本の木のようなものです。植えた当初は小さな苗木でも、適切な環境と手入れによって、やがて立派な木へと成長していきます。逆に、放置したままでは思いもよらない方向に伸び、手がつけられなくなってしまうことも。

「切らない!」植木屋に学ぶ成長の「手入れ」

植木屋さんは、木を育てる際に「切る」という言葉は絶対に使わないそうです。

「すかす」「切り戻し」「刈り込み」といった手法と言葉を用います。
「切る」のではなく、「すかす」ことで風通しをよくし、「切り戻し」で新芽の成長を促し、「刈り込み」で全体のバランスを整える。これらの作業は木を傷めるためではなく、より健やかに育てるためのものなのです。

私たち経営者はどうでしょうか?
丁寧なコミュニケーションで、職員一人ひとりの健全な成長を支えられているでしょうか?

日々の小さな対話のなかで、成長の芽を見逃さず褒め、歪みがあれば早めに指摘する。
職員が育つ過程では、時に厳しい指導や修正が必要になるでしょう。
しかし、それは決して否定や抑圧ではありません。

その人の可能性を最大限に引き出すための大切なプロセスを怠ってはいませんか。
「対話」を恐れ問題が小さいうちに指摘できず、「今度こそ言わなければ」と思いつつも先延ばしにしてはいませんか?
そして最後には「もうどうしようもない」と解雇という考えに至っていないでしょうか?

「切る」前にできること。人財育成における「手入れ」の視点

「もう、あの社員には手を焼いている…」そう感じ、安易に「解雇」の二文字が頭をよぎったことはありませんか? まるで、組織の中に一本だけ異質な、どうすることもできない「独活の大木」が生えてしまったかのように。そして、その存在は、周りの健全な社員にまで悪影響を及ぼす、「みかん箱の腐ったみかん」のように、組織全体の活力を蝕んでいく。

しかし、安易に「切る(解雇する)」という最終手段を選ぶ前に、植木屋の「手入れ」の視点に倣って、私たち経営者自身の関わり方を振り返って、「手入れ」を見直してみませんか。適切な時期に適切な対話を重ねることで、職員は美しく力強い「木」へと成長していくはずです。

勇気を持って対話すること。成長の芽を褒め、歪みがあれば早めに指摘すること。日々の丁寧なコミュニケーションで、職員を美しく力強い「木」へと成長させるのも、人財育成における大切な「手入れ」です。

こうして成長した素晴らしい「木々」が集まることで、あなたの会社という「森」は、より豊かに、より強くなっていくことでしょう。

旧鹿児島県庁本館

写真は旧鹿児島県庁本館。

貴社の大切な人財の成長をサポートし、組織を強くしていくために、私たちがお手伝いできます。まずはお気軽にお問い合わせください。

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