解雇予告除外認定
通常解雇は、解雇事由を明示した上で30日以上前に解雇予告をするか、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。これは、労働基準法第20条により定められています。
しかし、解雇予告除外認定といわれる即日解雇が可能な制度があります。基準は非常に厳しいものですが、除外認定をとった実例をあげながら、対処法について解説します。
金銭を着服した飲食店従業員(対 従業員)
P社:居酒屋・従業員10名程度
居酒屋P社は従業員10名程の飲食店を営んでいる。そこに勤務するSは、勤務10年以上のホールスタッフ主任であった。
接客は素晴らしくて、お客様からお褒めの言葉をいただくこともしばしばであったが、レジが合わないことが発覚。
Sはレシートなどを操作することで、金銭の抜き取りを行っていた。遡って監査してみたところ、判明しただけで10年間で250万円に及んだ。
Sは会社から抜き取ったお金をギャンブルに使っていた。
当事務所は労働基準監督署から解雇予告除外認定をとり、即時解雇の手続きをおこなった。
それとともに、金銭を返済してもらう返済計画書等を作成し、会社にお渡しした。
会社は、その返済計画書等を基に法的手続きをおこなった。
現在毎月、10,000円ずつではあるが、返済が行われている。
当事務所からのワンポイントアドバイス
- 解雇予告除外認定をとるのを恐れる必要はない。法で認められた制度であるので、該当するときは除外認定をとる。
- 入社当初の法的書類は重要。きちんと整備する。
- 保証人も立てるなど、法的手続きをしっかりとし、毎月返済してもらうようにする。
- 盗んだ従業員が一番よくないが、会社側も従業員が不正できない仕組みづくりを行うことも重要。