就業規則の必要性

2020年2月29日

  1. 就業規則の作成と届出は、法律に定める義務
  2. 就業規則の基本ルール
  3. 作成の目的
  4. 作成改訂のポイント
  5. 就業規則を作成するメリット

1. 就業規則の作成と届出は、法律に定める義務

労働基準法第89条により、常時10人以上の従業員さんを雇う企業は、作成と届出の義務があります。10人未満の企業にとっても、後述する観点から、届出はしなくても、作成した方が絶対に良いと思います。

2. 就業規則の基本ルール

労働法の大家・菅野和夫先生は、著書「労働法」の中で次のように仰っています。「多数の労働者を協働させる事業においては、労働条件を公平・統一的に設定し、かつ職場規律規則として設定することが、効率的な事業経営のために必要となる。」
スポーツにルールがあるように、会社にもルールが必要です。従業員が100人いたら、100通りの価値観や個性があります。その多様性を効率的に事業経営に活かしていくための基本ルールなのです。

3. 作成の目的

会社と従業員がお互いに権利を振りかざすと、うまくいくものもうまくいきません。お互いが権利を守りあい、義務を履行してこそ、気持ちよい労働環境が整い、企業の業績が伸びるのではないかと、考えます。
権利をふりかざすことなく、義務を履行し、よい労働環境が整うために必要なことは、『安心感』と『身の丈』です。

どういうことかというと…

例1 「休職」

従業員が大病を患ったら、いきなり退職扱いですか? 「休職規定」を設けておけば、一定期間は安心して療養に専念してもらうことができます。では、「一定期間」は、どれぐらいが適切でしょう? 休職期間中も社会保険料はかかり続けます。大きい企業ならば、人員も資金も豊富で、代替要員も確保できますので、長い休職期間もOKでしょう。でも、少人数の企業だったら? どれぐらいの期間、復帰を待つことが可能でしょうか? もしかしたら、あまりに長くは待てないかもしれません。「一定期間」が、どれぐらいか、基準を定めておくべきでしょう。

例2 「懲戒」

「懲戒」は、企業秩序や企業利益を守るために大切な規定です。どのような事由の場合、どのような手段で懲戒を行うかは、就業規則に根拠条文を示しておくべきです。その根拠に基づいて厳正に対応する必要があります。また、裏を返せば、根拠条文に該当しない限りは、「懲戒」には該当しないということです。従業員さんの安心感につながります。

4. 作成改訂のポイント

①どんな事態が想定されるのか、最悪の事態を想定する。

万が一の場合に対応できてこその就業規則です。最悪の「まさか」の事態を想定して作成しましょう。

②法律を順守する

法律に抵触してはならないというのは、当然のことです。例えば、定年は、高齢者雇用安定法の定めにより、定年60歳、継続雇用65歳です。これ以上の規定を設けることは可能ですが、これを下回ることはできません。

③定期的に見直す

法改正があります。職員が入れ替わり、新しいルールが必要になることもあります。社会的に大きな事件や事故などにより、それらを自社の就業規則に反映させることも必要です。できれば、随時見直していただきたいと思いますが、せめて、2年に一度は見直しをお願いしたいです。

5. 就業規則を作成するメリット

①残業時間の削減につながる場合も

労働時間を見直し、変形労働時間制を活用する等の方法により、残業時間を削減できる場合があります。人数が多い企業では、年間何百万円のコスト削減につながることもあります。

②助成金の受給につながる場合も

助成金の趣旨目的が企業の雇用戦略と合致する場合は、助成金も積極的に活用すべきだと思います。その場合、企業の制度として、就業規則に盛り込むことが必要になることもあります。

③経営の効率化

従業員間の不公平感を減少させるとともに、労務管理を効率化し、組織の引き締めを図り、採用リスクを低減化するものです。就業規則を戦略的に活用しましょう。