社会保険労務士への労務相談
労務相談でよく伺う質問とその解説をまとめました。
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Q1.採用時における労務トラブル防止について必要なことはなんですか?
採用時においては、労働条件の明示と必要な書式。
●採用時の労働条件の明示
採用時の労働条件の明示は、労働基準法(第15条第1項、施⾏規則第5条)上、義務化されています。しかしながら、中小零細では、徹底されていない企業もあると思います。理由は、色々あると思いますが、後々のトラブルを避けるためにも、実行しておくべきだと思います。実行しない理由が「働いてもらわないとわからないから」というような理由であるならば、その旨もきちんと明示すればよいと思います。例えば、「これだけの職務をしてもらえたら、この給与」とかです。
労働条件の明示の項目は、労働基準法により、明示すべき項目がきまっています。正社員と非常勤ではその項目が異なることにも注意が必要ですし、「雇用契約書」とすることもできますし、法定の項目以上のものをいれることも、トラブル防止の観点から有効でしょう。
定着してもらい、これから企業を支えてもらうべき従業員さんとは、信頼の確保が大切です。入口の時点でつまづくのは、企業にとっても得策ではありません。
●採用時の一連の書式によりトラブルの担保
採用時の従業員から企業への提出書類としては、健康診断書や「誓約書」「通勤経路」「保証人の連帯責任」等々、一連の書類の準備をお願いしたいです。どのような書類が必要かは、従業員が従事する職務や、企業の考え方などで変わってきます。
①企業の考え方を従業員に伝えること
②企業の考えを理解してもらい同意してもらうこと
③従業員の権利義務を明確化する
など、企業と従業員がよい関係を保つ上でも、これらの一連の書類は重要度をましていると考えます。
●書式は「インターネットからダウンロード」?
「ひな形書式なんてインターネットからダウンロードしたらいいんでしょ」と、仰る経営者の方がいます。それはそれで、ひとつの考え方だと思いますので、否定はしません。しかし良い経営のために、労使トラブルをいかに防止するか?そのために必要な一連の書式を、額に汗かき、日々工夫している当事務所にしてみたら、「心外です」というしかありません。
書式には、
①伝えるためのもの
②同意を得るためのもの
③当事者たる従業員の意見や反対をのべるためのもの
があります。それらを使い分け、適切な文言の選定が大切だと思います。
Q2.退職時に何をもらえばいいですか?
本当に「解雇」でいいですか?受領する書類の一例としては、次の通りです。
退職時に頂いてもらう書類としては、一例としましては、
①退職願
②退職後の守秘義務の誓約書
③その他、上記に類する書類
④会社の財産(データ含む)などの返還
⑤保険証
⑥会社の貸付金などある場合は、返済方法などの取り決め
と、なります。
今回は、「解雇」ということですので、①退職願はありませんね。
会社が行う基本の手続きとしては、
①市町村役場への異動届
②年金事務所への喪失届
③ハローワークへの喪失届
④源泉徴収票の発行
と、なります。
ただし、本当に「解雇」でよいですか?「解雇」というからには、よほどの理由があったことでしょう。しかし、民事で「不当解雇」で争われる可能性もあります。可能であれば、「退職勧奨」が無難だと思います。
「負けて勝て」「立つ鳥後を濁さず」という言葉があります。
「解雇」にしたい理由はおありでしょうが、何事もことの終わりは、なるだけ穏便であるに越したことはありません。「賢者は黙して語らず」です。
どうしても、「ここは譲れない」という場合は、争うこともやむなしですが、その場合は、争いは、時間と労力を費やします。何物も生み出さないものです。腹をくくるる必要があります。
不当解雇という不毛な理由で時間と労力とお金を費やすならば、より前向きで、生産性が高く、楽しいものに、時間と労力とお金を費やすべきだと思うからです。
Q3.送迎中の自動車事故が多い従業員の対応<介護>
本当に「解雇」でいいですか?受領する書類の一例としては、次の通りです。
退職時に頂いてもらう書類としては、一例としましては、
①退職願
②退職後の守秘義務の誓約書
③その他、上記に類する書類
④会社の財産(データ含む)などの返還
⑤保険証
⑥会社の貸付金などある場合は、返済方法などの取り決め
と、なります。
今回は、「解雇」ということですので、①退職願はありませんね。
会社が行う基本の手続きとしては、
①市町村役場への異動届
②年金事務所への喪失届
③ハローワークへの喪失届
④源泉徴収票の発行
と、なります。
ただし、本当に「解雇」でよいですか?「解雇」というからには、よほどの理由があったことでしょう。しかし、民事で「不当解雇」で争われる可能性もあります。可能であれば、「退職勧奨」が無難だと思います。
「負けて勝て」「立つ鳥後を濁さず」という言葉があります。
「解雇」にしたい理由はおありでしょうが、何事もことの終わりは、なるだけ穏便であるに越したことはありません。「賢者は黙して語らず」です。
どうしても、「ここは譲れない」という場合は、争うこともやむなしですが、その場合は、争いは、時間と労力を費やします。何物も生み出さないものです。腹をくくるる必要があります。
不当解雇という不毛な理由で時間と労力とお金を費やすならば、より前向きで、生産性が高く、楽しいものに、時間と労力とお金を費やすべきだと思うからです。
Q4.兼業・副業の注意点
社会の流れは認める方向。でも、慎重な対応が必要。
国からは、2018年1月、兼業副業の促進に関するガイドラインが公表されました。残業時間の削減などもあり、社会の流れとしては、兼業副業を奨励するような方向にあります。しかしながら、いくつかの問題点があり、安易に認めるべきではありません。
兼業のメリットとしては、従業員の技能経験の向上や、人脈の形成などが考えられます。
デメリットとしては、会社の企業秘密の漏洩や、従業員の健康配慮義務や労働時間の算定の複雑化などです。
①自社の就業規則を確認し、自社の兼業に対するスタンスを決める。
ほとんどの企業は、「兼業を禁止する」というような就業規則をお持ちではないかと思います。しかし、社会の流れの中で、「消極的に認める」という企業も増えてきたような思います。
②「消極的に認める」場合の注意店として、以下のようなものがあります。これらを兼業を始める前に取得しておく必要があります。
●兼業開始前
・兼業による企業情報の漏洩を防止するための誓約書
・もしも、本業に支障をきたした場合、「兼業を中止または中断します」の誓約書
●兼業中
・労働時間を把握するための毎月の兼業先での勤務時間の報告書
・兼業時間が長く、健康悪化が懸念される場合や、本業に支障をきたす場合は、一時中止または中断を促す
③本業と兼業先を通算して割増賃金を支払わなくてはなりません。
原則的に後から雇用契約を結んだ兼業先が割増賃金を支払う必要がありますが、一言には言い切れませんので、ガイドラインを確認しておく必要があります。
本人の兼業へ希望が強い。ということなので、今回は兼業を認めざる得ないかもしれません。しかし、企業には、上記のような様々な配慮が必要になりますので、本人にもそのようなことを理解してもらったうえで、兼業の許可を出した方がよいでしょう。
また、政府は兼業や副業については、割増賃金をなくすことも検討しています。今後、様々な改正が想定される部分ですので、注目が必要です。
Q5.パート労働者の社会保険と税金
労働時間と収入金額の両方に配慮する。
①労働時間と労働日数
社会保険の加入基準は、労働時間と労働日数で判断します。
週の所定労働時間の3/4未満かつ、月の所定労働日数の3/4未満で働いてもらう必要があります。
保育の都合で、短時間でもいいから、毎日来てもらいたいという場合ですと、40時間の3/4未満である必要がありますから、月~土曜日の各曜日なら、1日5時間未満。
月の日数は少なくてもいいから、1日8時間来てほしい、という場合は、21日の3/4未満となり、15日程度となります。
②収入金額
収入金額の配慮は、税法上と社会保険の扶養。いわゆる103万円・130万円・150万円の3つの壁。
Aさんのご主人のお給料面からみた場合、扶養控除の対象となるのは、103万円。しかし、103万円を超えても、配偶者特別控除があります。配偶者特別控除は逓減していきますので、103万円を超えても格段に不利益になることはありません。
一方、社会保険の扶養は130万円。
③103万円と130万円、どちらが得か?
Aさんの世帯の手取り収入が多くなるのは、130万円。
130万円を超えてしまいますと、Aさんは社会保険か国民健康保険に加入の必要が出てきますので、130万円のなかで、働いてもらった方がいいでしょう。
ただし、Aさんのご主人の企業に配偶者手当などがあり、支給基準が103万円未満の妻、としている場合は、配偶者手当の金額などによあって、また答えが変わります。
④500人以上の企業では106万円。
500人以上の企業では週20時間、月の収入が88000円を超えると社会保険への加入義務があります。
税法や社会保険の加入基準などが入り組んでわかりにくいです。Aさんには、あなたの世帯の手取りが高くなるのは、130万円です。そのなかで1週30時間未満かつ、15日程度で働てくださいね。と、お伝えください。