新型コロナウイルスの影響による標準報酬月額の特例改定について

2023年9月1日

新型コロナによる標準報酬月額の特例改定
標準報酬月額の特例改定

2020年4月から7月までの間に新型コロナウイルス感染症の影響によって休業し、報酬が著しく下がった従業員については標準報酬月額の特例改定が認められています。

今日はこの標準報酬月額の特例改定についてのお話です。

そもそも、従業員の給与に大幅な変動があった場合には、随時改定(月額変更)という手続きによって保険料などの計算の根拠となる標準報酬月額を改定することになっています。

通常、この随時改定が行われるのは次の3つの要件をすべて満たす場合です。

①昇給または降給などにより固定的賃金に変動があったこと

②変動月からの3か月間に支給された報酬(※)の平均月額に該当する標準報酬月額と、これまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じたこと

※残業手当などの非固定的賃金を含む。

③3か月とも支払基礎日数が17日(※)以上であること

※特定適用事業所(厚生年金保険の被保険者数が501人以上の企業に属する事業所)に勤務する短時間労働者については11日。

つまり、通常の随時改定では、従業員の給与に大幅な変動があっても3か月は様子を見なければなりませんので、新たな標準報酬月額が適用されるのは給与変動月から4か月目の月ということになります。

これが、新型コロナウイルス感染症の影響で休業した従業員については、次の3つの条件を満たせば、給与変動月の翌月から標準報酬月額を改定できるようになっています。

①事業主が新型コロナウイルス感染症の影響により休業(時間単位を含む)させたことにより、急減月(令和2年4月から7月までの間の1か月であって、休業により報酬が著しく低下した月として事業主が届け出た月)が生じていること

②急減月に支払われた報酬の総額(1か月分)に該当する標準報酬月額が、既に設定されている標準報酬月額に比べて、2等級以上下がっていること

※固定的賃金(基本給、日給等単価等)の変動がない場合も対象になります。

③特例による改定を行うことについて、本人が書面により同意していること

※該当従業員の十分な理解に基づく事前の同意(改定後の標準報酬月額に基づいて、傷病手当金、出産手当金、年金の額が算出されることへの同意を含む)が必要になります。

なお、これを届け出ることで、該当従業員と会社が負担する保険料が下がりますが、上記③の要件にもあるとおり、標準報酬月額が下がるということは、これをもとに計算される傷病手当金や出産手当金、将来の年金額にも影響が出るということです。

手続きを進める場合には、該当従業員に十分説明するようにしてください。