「社員が働く目的、理由を聞き出す方法」
「社員のやる気を引き出して、喜んで働いてもらう方法」というシリーズでお伝えしている本連載の2回目になります。
前回の記事では、社員が思い通り働いてくれないのは、会社の目的と社員が働く目的が違うからとお伝えしました。
少しおさらいです。
経営者と社員では、働く目的が違います。
経営者は、会社の売上を上げて会社を繁栄させたいと思う。しかし、社員は違います。
給料をもらって家族が安心して暮らせるようにしたい。趣味に使えるお金が稼げれば良いと考えているかもしれません。
両者は働く目的が違うので、経営者が働く理由を熱く伝えても、業績アップの重要度を伝えても響かないのです。
つまり、社員に喜んで働いてもらうには、社員が働く理由や目的を知り、会社の目的と一致させる必要があります。
そこで今回は、社員が働く目的や理由を確かめる方法をお伝えします。
難しい知識やテクニックではなく、今日からすぐに実践できる簡単な方法です。詳しくお伝えするので、参考にしてみて下さい。
社員が働く目的を確かめる簡単な方法
社員が働く目的を確かめる簡単な方法は、社員に直接、働く理由を聞いてみることです。
「そんな当たり前なこと…」と思うかもしれませんが、そんな当たり前がとても大切です。
社員が働く目的や大切にしている事は、社員一人ひとり違います。
結婚している男性社員は、家族が安心して暮らせるために仕事をしているかもしれません。
結婚して子供がいる女性社員は、子供が体調を崩した時に、休みの取りやすさを大事にしているかもしれません。
独身の男性社員は、彼女の前(女の子の前)でカッコつける為にお金を稼ぎたくて、仕事をしているかもしれません。
ここで挙げたものは一部です。
社員一人ひとりで働く目的が違うので、働く理由を直接聞いてみる事が大切なのです。
話を聞いてくれる人を好きになる自然の法則
経営者やリーダーによっては「社員の話を聞くのが手間」とか「恥ずかしい」と感じる方がいるかもしれません。
ただ、社員の話を聞くのは大きなメリットがあります。
それは、話を聞いてくれたあなたに好意を抱く事です。
想像してみて下さい。
自分の考えや意見をベラベラと喋るだけの営業マンと、あなたの話を聞いてひたすら聞いて、時には相談に乗ってくれる営業マンだったら、どちらに好感を持つでしょうか。
周りの愚痴や不満しかいないパートナー(異性)と、あなたの話を心地よい相槌をうって聞いてくれるパートナーなら、どちらを大切にしたいでしょうか。
おそらく後者ですよね。
人は、自分の話を聞いてくれる人に好意を持つ心理があります。
心理学で「好意の返報性(へんぽうせい)」と言いますが、人は、自分の話を聞いてくれる人を好きになったり、良い人だと思ったりします。
つまり、経営者やリーダーが部下の話を聞くと「この人は自分を分かろうとしてくれる」「分かってくれている」と好意を持たれるようになるわけです。
それが、信頼につながり「この人の話なら聞いても良い」「この人が言うならやってみよう」と思えるようになるのです。
社員を嫌々従わせるよりも、喜んで応援してもらった方がいいと思いませんか?
次の章では、社員が働く目的を確かめる質問の仕方をお伝えします。ぜひ参考にしてみて下さい。
人生で大事にしているものはなんですか?
社員が働く目的を確かめる質問は、「人生で大事にしているものはなんですか?」と聞いてみる事です。
仕事は人生の一部なので、「人生で大事にしているもの」と前提を決めて質問します。
これが「仕事で大事にしているもの」だと、社員の本音が聞き出せないので気をつけて下さい。
ただ、普段から人生や生き方について考えていないと、この質問に答えられなかったり難しく感じたりする人もいます。
聞く側も照れもあるかもしれません。
その時は、次の質問をしてみて下さい。
・普段の生活で大事にしてる事ってある?あるとしたらそれは何?
・何をしている時が楽しい?幸せだったら、喜びだったりを感じる?
・もし仕事で楽しいと感じる事があったとしたら、それはどんな時?
例えば、社員と面談をする時に、次のように聞いてみます。
経営者「◯◯さんは、仕事以外で、普段何をしてる時が楽しい?
または、幸せだったら、喜びだったりを感じるのはどんな時?」
社員「んー、子供が成長していく姿を見ると幸せだなって思いますね。」
経営者「成長する姿を見ると幸せを感じるんだね。確かに子供は可愛いからね。
なぜ、子供の成長していく姿を見ると、幸せだなって思うんだろう?」
・・・
このように、社員が大切にしている事を時には広く、時には深く聞いていきます。
すると、いろんな情報が集まります。
・子供の成長を見る事が幸せ
・子供の笑った顔を見るのが幸せ
・奥さんと子供が笑顔でいてくれる事が喜び
・俺は家族を養ってるんだというプライド
・等々
この社員が働く目的は、子供の成長見るためだったり、家族を養っているプライドを守るためだと分かります。
社員が働く目的が分かれば、あとは、会社の目的が繋がっていると話すだけです。
会社の目的を達成すると、自分の目的も叶うと分かれば、喜んで働いてくれる社員が少しずつ出てきます。
詳しい繋げ方は、次回お伝えします。
まずは、社員が働く目的や理由、大切にしているものを聞いてみて下さい。
社員のプライベートな話を聞くには、経営者やリーダーとの間に信頼関係がないと、本音を話してくれません。
「信頼関係が薄いかも」と感じる場合は、まず信頼される行動や言葉がけをしてみて下さい。
たった1人でも良いので「この社員にはとても信頼されている」状態を作る事をおすすめします。
1人と強い信頼関係が作れると、それを見ている周りの社員にも伝染していきます。
社員の働く目的と会社の目的をつなげる
今回は、社員が働く目的や理由を確かめる方法をお伝えしました。
やり方はとてもシンプルなので、社員に質問してみて下さい。
初めは慣れないかもしれませんが、続けていると社員が大事にしているものや本音が分かるようになります。
次回はいよいよ、社員に喜んで働いてもらう為に、社員が働く目的と、会社の目的をつなげる方法をお伝えします。
会社の業績がアップした方や、社内の雰囲気がガラッと変わった事例もお伝えします。