「5類移行後のコロナ」対応について

2023年10月31日

就業規則などに「特別有給」の規定がなくても、「2類相当のコロナ」は、例外的な措置として、「特別有給制度」を適用してきた企業様もあると思いますが、「5類移行後」もこの措置を継続することは、既得権化しますので、軽々に行わないほうがよいと考えます。


最近、「コロナ」「インフルエンザ」「RSウィルス感染症」と、様々な感染症が流行っています。

経営者や人事の担当の方からお問い合わせが多いのは、「従業員がコロナに感染したんだけど、公休(特別有給)扱いでなくていいかしら」の問合せが多いです。

「2類相当のコロナ」のときは、業務上・業務外にかかわらず、従業員さんがお休みされても、給料を保証している企業も少なくありませんでした。 法律を超えた福利厚生の観点からの、特別な対応なので、もちろん問題はありません。

しかし、「5類移行後のコロナ」になっても、『「特別有給」を適応しなくて大丈夫?』、という、背中を押してもらいたいような、相談の電話が多く寄せられています。


私は、このように応えています。

『コロナは今後も続きますし、ずーと、「特別有給」扱いをすると、経営にも差し障りますし、他の感染症のときも特別有給と、なりかねませんものね。「無給」または、「本人の希望による有給」が、よいかもしれませんね。』

就業規則などに「特別有給」の規定がなくても、「2類相当のコロナ」は、例外的な措置として、「特別有給制度」を適用してきた企業様もあると思いますが、「5類移行後」もこの措置を継続することは、既得権化しますので、軽々に行わないほうがよいと考えます。

所長解説

次のような場合は、休業手当(60/100)の対象となります。

  • 保育園や介護施設などで、コロナや他の感染症により、土曜日の利用者が少なかったため、非常勤さんに休んでもらうなどの措置
  • 飲食店で、大規模な予約がキャンセルされ、バイトに休んでもらうなどの措置
  • 従業員さんが熱発して、「念のために休んでもらう」などの措置


参考資料「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」 厚生労働省

<休業させる場合の留意点>

問1 新型コロナウイルスに感染した、または発熱などの症状がある労働者を事業者の判断で休業させる場合、休業手当の支払いは必要ですか。

A.労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、使用者は、休業期間中当該労働者に、休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされています。
使用者の責に帰すべき事由とは、企業の経営者として不可抗力を主張し得ないすべての場合とされています。
ここでいう不可抗力とは、

  1. その原因が事業の外部より発生した事故であること
  2. 事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること

の2つの要件をいずれも満たす必要があります。
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類感染症に変更されましたが、休業手当の支払義務の考え方について変更はなく、上記のような考え方の下で個別事案ごとに諸事情を総合的に勘案して判断されることとなります。
例えば発熱などの症状があることのみをもって一律に労働者に休んでいただく措置をとる場合のように、使用者の自主的な判断で休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当たり、休業手当を支払う必要があります。

<事業の休止に伴う休業>

問3 新型コロナウイルス感染症によって、事業の休止などを余儀なくされ、やむを得ず休業とする場合等にどのようなことに心がければよいのでしょうか。

A.今回の新型コロナウイルス感染症により、事業の休止などを余儀なくされた場合において、労働者を休業させるときには、労使がよく話し合って労働者の不利益を回避するように努力することが大切です。
また、労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされています。休業手当の支払いについて、不可抗力による休業の場合は、使用者に休業手当の支払義務はありません。
具体的には、例えば、海外の取引先が新型コロナウイルス感染症を受け事業を休止したことに伴う事業の休止である場合には、当該取引先への依存の程度、他の代替手段の可能性、事業休止からの期間、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、判断する必要があると考えられます。

厚生労働省/新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)

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