循環的離職者とは?
循環的離職者とは、同じ会社で入退社を繰り返し、雇用保険の基本手当など(いわゆる失業保険)を受給する者のことを言い、一般的には「過去3年以内に3回以上同一の事業所に連続して就職し、かつ、その間に1回でも基本手当などを受けたことがある者」とされています。
この循環的離職者による基本手当などの受給は、自動車業界の期間工などを中心にかなり前から取り上げられてきた問題ですが、現状では、65歳以上の離職者で問題になることが増えてきていますので、今日はそのことについてお話ししたいと思います。
そもそも、循環的離職者が問題視されるのは、該当者と会社との間に再雇用の約束があるにもかかわらず、該当者が形式上退社して基本手当などを受給することは不正受給に当たるためです。
このため、ハローワークでは基本手当などの受給資格の決定に際してその確認を慎重に行うことになっていますが、該当者が循環的離職者と判断されれば、基本手当などの受給要件を満たしていてもその受給資格を得られない可能性がありますし、その者がこれまでに受給した基本手当などについても、会社側も連帯して返還命令などの処分が下されることもあります。
さて、一般的に失業保険とは、65歳未満の離職者であれば、4週間ごとに失業認定を受けたうえで支給される基本手当のことを指しますが、65歳以上の離職者であれば、まとめて一時金として支給される高年齢求職者給付金のことを指します。
循環的離職者は、これまでは基本手当の受給時に問題になることが多かったですが、現状では、次のような理由から高年齢求職者給付金の受給時にも問題になることが増えてきています。
①再雇用のパターンが多様化していること
②高年齢求職者給付金の受給に際して求められる被保険者期間が「離職前1年間に通算6か月以上」であり、基本手当の原則「離職前2年間に通算12か月以上」よりもハードルが低いこと
③2017年(平成29年)1月の改正雇用保険法の施行により、65歳以上の再就職者も雇用保険被保険者となる整理になったため、これまで一生に1回しか受給できなかった高年齢求職者給付金が何度でも受給できるようになったこと
基本手当や高年齢求職者給付金の受給資格などについては様々な例外的取り扱いがあります。以前いた従業員を雇用する場合にその者が循環的離職者に当たるのかどうかについてはお近くのハローワークでご確認ください。