精神疾患により休職している者を復職させる場合の注意点
Q.最近、うつ病を発症したことを理由に休職させていた社員から復職したい旨の連絡がありました。弊社では精神疾患を発症した社員を休職させたことも、復職させることも初めてなのですが、このあと復職させるにあたって注意すべき点などがありましたら教えてください。
A. 一般的に、休職させる場合には、該当社員から主治医の診断書を提出させて、会社として休職させることが妥当と判断すれば、一定期間(例えば、3か月から6か月など)休職させる、その後、該当社員から症状が治まったため、復職したい旨の連絡があれば、あらためて主治医の診断書を提出させ、かつ、産業医などにも相談したうえで、業務に支障がない程度まで回復しているという判断できれば、復職させることになります。
※休職や復職などに関しては労働基準法に定めはありませんので、どのように対応するかについては会社ごとに異なります。
基本的には就業規則等で定めている規定に基づいて対応
休職希望者への対応について
最近では、職場における様々なストレスが蓄積することでうつ病や適応障害などの精神疾患を発症する者が増えています。このような者については、会社としてはいったん休職させて治療に専念させることを検討することになります
具体的にどのように対応すべきかについては、基本的には就業規則(あるいは別に作成している休職に関する規程)で定めている規定に基づいて対応することになります。
※休職や復職などに関しては労働基準法に定めはありませんので、どのように対応するかについては会社ごとに異なります。
休職から復職への流れ
休職させる場合
- 該当社員から主治医の診断書を提出させて、会社として休職させることが妥当と判断すれば、一定期間(例えば、3か月から6か月など)休職させる。
復職させる場合
該当社員から症状が治まったため、復職したい旨の連絡があれば…
- あらためて主治医の診断書を提出させる。
- かつ、産業医などにも相談したうえで、業務に支障がない程度まで回復しているという判断できれば、復職させる
復職できるレベルまで症状が回復していないと判断した場合
該当社員が復職を希望していても、会社としてまだ復職できるレベルまで症状が回復していないと判断した場合…
- 就業規則などにおける休職に関する規定において、「休職期間が満了してもなお傷病が治癒せず、就業が困難な場合には休職期間の満了をもって退職とする。」というような条項を設けていれば、休職期間の満了をもって退職させることも可能です。
- リハビリ的に短時間でも軽い業務に携わらせることはできないのかなど該当社員に負荷がかからないように復職させることを検討する。
※規定があることをもって直ちに退職させる決断をすると、該当社員とトラブルになる可能性が高い。
さらに詳しく…
心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援
厚生労働省では、メンタルヘルス不調により休業した労働者に対する職場復帰を促進するための会社向けマニュアルとして、「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」というものを作成しています。
厚生労働省では、メンタルヘルス不調により休業した労働者に対する職場復帰を促進するための会社向けマニュアルとして、「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」というものを作成しています。
この手引きは、あくまで、該当社員をどのように休職させ、復職させるのかなどあくまで復職支援に関して解説したものになります。
※休職期間が満了し、症状が回復していないことを理由に退職させることなどは想定されていませんが、休職開始から復職までの流れについて次のように示されています。
「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
1.休職の開始および休職中のケア
休職は、該当社員から主治医の診断書(病気休業診断書)が提出されたことをもって開始させる。そして、該当社員に対しては、休職中、安心して療養に専念できるように傷病手当金などの経済的な保障、また、不安や悩みの相談先などについての情報提供を行う。
2.主治医による復職可能の判断
該当社員から復職希望の連絡があれば、主治医の診断書(職場復帰が可能という判断に加え、就業上、配慮すべき事などが記載されたもの)の提出を求める。 主治医の判断と職場で必要とされる業務遂行能力の内容などについては、あらためて産業医(正社員や契約社員、アルバイトなどが50人以上の事業場であれば選任義務あり)などにも確認してもらい、意見を求める。
3.復職を支援するプランの作成
復職が可能と判断した場合には、復職を支援するための具体的なプランを作成する。このプランの作成にあたっては、衛生管理者(産業医と同様、正社員や契約社員、アルバイトなどが50人以上の事業場であれば選任義務あり)や人事労務管理スタッフ、管理監督者、該当社員が連携しながら進める。
4.最終的な復職の決定
上記で、該当社員の復職が可能であると判断し、復職を支援するためのプランが完成すれば、会社として正式に復職の決定を行う。
5.復職後のフォローアップ
該当社員が復職した後は、管理監督者による観察や支援のほか、衛生管理者や人事労務管理スタッフなどによるフォローアップを実施し、適宜、復職を支援するためのプランの評価や見直しを行う。
厚生労働省の手引きには、上記でご紹介した休職の開始から復職させるまでの流れのほか、復職支援の事例、また、休職・復職に関する就業規則の規定例などが掲載されています。詳細については、厚生労働省のホームページでご確認ください。
心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き/厚生労働省
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