農業スポットワーク｜天候リスクと労働契約の適正管理ガイド2025
農業でのスポットワーク活用に大きな変化が生じています。
2025年9月から始まるスポットワークの新ルールは、天候に左右されやすい農業にとって大きな課題をもたらします。ここでは、新しいルールに対応するための農業労務管理のポイントを解説し、農業経営者の方々が安心してスポットワークを活用できるよう、具体的な対策をお話します。
農業スポットワーク：2025年9月の新ルールで変わること
当事務所には、40社ほど、農業事業者の顧問先様がいらっしゃいます。その顧問先様からは、スポットワークの評判を聞く機会も結構あり、忙しいときだけ手伝いに来てくれるスポットワーカーさんは大変にありがたい存在だということでした。
ところが、厚生労働省「スポットワークの労務管理」により、「応募時点で労働契約成立」が明確化されたことで、農業事業者には天候リスクを考慮した労務管理が求められるようになりました。
農業の現場では、雨天による収穫の延期、台風接近による急な作業、晴天続きでの予定前倒しなど、天候によって作業内容や日時が日常的に変わります 。
しかし、新しいルールのもとでは、一度労働契約が成立した後に、天候を理由に仕事をキャンセルした場合、事業主は労働者に対して6割の休業手当を支払う義務が生じます 。
これは、天候リスクに直面する農業経営にとって、避けては通れない大きな課題となります。
「解約権留保付き労働契約」の活用
天候リスク対応の核心は、「解約権留保付労働契約」の活用です。
例えば、「降水確率80%以上の場合、作業は中止とする」といった具体的な基準を明文化して、募集の項目に記載しておくことが重要です 。
天候リスクを考慮した、農業スポットワークの労務管理ポイント
１．労働条件明示の徹底
天候条件と代替案を含む詳細な労働条件通知書の作成が必要です。
２．最低保証時間設定
柔軟な作業対応として屋内作業への振替や部分実施があります。
３．安全衛生管理の徹底
農機具の正しい使用方法、農薬取扱い注意、熱中症対策等の教育が法的義務です。
４．労災保険の適用
農業は労働災害発生率が高く保険料は事業主負担となります。
お困りの際はご相談ください
農業は、労働基準法の例外が多い、特殊な産業ですが、雨や風よる休業補償はその対象になります。ただ、台風のような自然災害となりますと、別の判断です。
農業特有の労務問題でお困りの際は、農業労務に精通した社会保険労務士にご相談ください。農業経営効率化の両立により、持続可能な農業発展を実現できます。
