アルコールチェックの義務化と一部延期について
Q. 法改正により、令和4年4月から、安全運転管理者を選任することが義務になっている事業所(一定台数以上の車両を保有している事業所)では、目視などにより運転者のアルコールチェックを実施することが義務になりました。また、10月からは、目視によるチェックではなくアルコール検知器を使用してチェックすることが義務になると聞いています。 弊社では、現時点でアルコール検知器を使用してチェックしているのですが、この段階的な義務化についての詳細を教えてください。
A. 今回の道路交通法施行規則の改正により、今年の4月1日からは、運送事業者以外でも安全運転管理者を選任することが義務になっている事業所、つまり、白ナンバー・黄色ナンバーの車両を一定台数以上保有している事業所においてもアルコールチェックを実施することが義務になりました。
しかしながら、警察庁は7月14日に、アルコール検知器の供給状況などを踏まえて、当分の間、この適用を延期することを発表しています。
既にアルコール検知器を使用してチェックを実施している事業所におきましては、10月1日から義務化するとしていた内容に変更がない限りは、追加で対応すべき事はありません。
道路交通法施行規則の改正によるアルコールチェックの義務化について
運送事業者のトラックやタクシーなどのいわゆる緑ナンバーの運転者については、既に平成23年5月1日から、点呼時にアルコール検知器を使用して酒気帯びの有無を確認することが義務付けられていますが、今回の改正により、白ナンバー・黄色ナンバーの車両を一定台数以上保有している事業所においてもアルコールチェックを実施することが義務になりました。
アルコールチェックが義務となる事業所(安全運転管理者選任事業所)
安全運転管理者選任事業所とは
- 乗車定員が11人以上の自動車を1台以上保有している事業所
- その他の自動車を5台(原付を除く自動二輪車は1台を0.5台として計算)以上保有している事業所
※ここで言う「事業所」とは、会社全体のことではなく、本店や支店、営業所などの単位を指します。
上記に該当する事業所が対応すべき事項
- 運転前後の運転者の状態を目視などで確認することにより、運転者の酒気帯びの有無を確認すること。
- 酒気帯びの有無について記録し、その記録を1年間保存すること。
令和4年10月1日から
10月1日からは、上記に該当する事業所に対して、目視ではなくアルコール検知器を使用してチェックを実施することや、アルコール検知器を常時有効に保持すること(正常に作動し、故障がない状態で保持するということ)が義務付けられる予定でした。
アルコール検知器を使用してのチェックが延期となっています
警察庁は7月14日に、半導体が世界的に不足していることから、アルコール検知器の供給状況などを踏まえて、当分の間、この適用を延期することを発表しています。
現時点においては、あらためていつからアルコール検知器を使用してチェックを実施することが義務になるのかは不明です。
さらに詳しく…
道路交通法および道路交通法施行規則より
安全運転管理者を選任と安全運転管理者の業務について
法改正前
安全運転管理者選任事業所においては、法改正前から、安全運転管理者を選任しなければならないこと、また、この安全運転管理者の業務として、「運転者の適性や技能、知識などを把握すること」や「安全な運転の確保などに留意した自動車運行計画の作成すること」などが規定されていました。
法改正後
今回の法改正により、この安全運転管理者の業務として、「目視などでアルコールチェックを実施すること」や「アルコールチェックの記録を1年間保存すること」が追加されています。
令和4年10月1日以降の対応について
令和4年10月1日からのアルコール検知器の使用義務化について、現時点で延期となり、あらためていつ義務化されるのかも決まっていません。
しかしながら、事業所によっては、4月1日からアルコール検知器を使用してチェックしているところも少なくありません。それは、目視によるチェックではどうしてもグレーな判定となり、運転者との間でトラブルになる可能性があること、また、まず目視によるチェックから始め、次にアルコール検知器を使用したチェックに変更することにあまり意味がないと考えている会社が多いということだと思われます。
警察庁が懸念しているとおり、アルコール検知器は品薄な状態が続いてはいますが、現時点ではすべての販売店において品切れになっているわけではありません。そう遠くないうちにアルコール検知器を使用したチェックが義務になると思われますので、会社としては、運転者の交通事故を防止するためにも、できるだけ早めにアルコール検知器を入手してチェックを実施すべきでしょう。
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