10人から30人に拡大したい企業の、労務管理アウトソーシングのタイミング【現状チェックリスト付】

2023年10月31日

労務管理アウトソーシングのイメージ

10人規模の企業が事業拡大を考えるとき、避けて通れないのが労務管理の不備改善です。しかし給与や勤怠管理をはじめ、さまざまな法令や社会保険などの専門知識が必要となり、社内リソースでは対応しきれない場面が出てくるでしょう。

そのとき視野に入るのが労務管理のアウトソーシングです。今回は、事業拡大を考える企業がアウトソーシングを失敗させないために知っておきたいポイントと、始めるタイミングについて解説いたします。

特定社会保険労務士 上岡ひとみ

上岡ひとみ経営労務研究所代表
特定社会保険労務士 上岡ひとみ


10名規模の企業の労務管理の課題

業種にも寄りますが、10人規模の企業ではバックオフィス専任の事務スタッフがいないケースも多くあり、給与計算や社会保険手続をはじめとする労務管理は後手に回りがちです。しかし社員の増加につれ労務管理業務の煩雑さは増していきます。

特に採用、育成、定着の面で、適正な労務管理の必要性が顕在化しますが、法律に則った求人票の作成、入社に関連する労務管理や入社後の育成にはすべて時間とコストがかかります。資格取得や設備投資のための助成金も就業規則がなければ申請できません。人材不足、資金不足、そのための対応に追われる小規模企業がほとんどですが、本来は売り上げに直結する業務に専念すべきです。

上記の課題解決には「人手不足の解消」と「専門知識」の2つの要素が必要ですが、社内で対応がしきれない場合、定型業務を外部に委託する「アウトソーシング」が視野に入ります。労務管理のアウトソーシングでは主に給与計算、勤怠管理、社会保険手続などのルーティン業務が範囲に入ります。

ここ数年で広がってきた労務管理アウトソーシングですが、経済的に安定していない10人規模の企業では、労務管理の優先順位が上がらずコストをかけにくい現状があります。顧問に社会保険労務士がいる場合も、依頼した業務のみの対応であれば企業側でタスクの抜け漏れにも気付きにくく、会社全体の労務をカバーするというアウトソーシングのイメージが付きにくいともいえます。


労務管理アウトソーシングのメリット

10人規模の企業の労務管理アウトソーシングには多くのメリットがありますが、大きくは以下の3つでしょう。

メリット1
給与振り込みから人材育成まで、丸投げも可能

人に関する手続や対応はすべてつながっています。入社〜勤怠~給与までをワンストップで依頼すれば、都度のコミュニケーションコストも大幅に下がります。労働基準法や法改正などの専門知識が社内になくても、適正な状態を保つことが可能になります。

また、御要望に応じて、採用戦略や定着、人材育成計画などの対応も可能です。

メリット2
事業スピードが上がる

労務管理は会社の根幹であるとはいえ、売り上げに直結しない業務も含まれます。給与計算などのルーティン業務をアウトソーシングすることによって、経営者だけではなく現場担当者がより生産性の高い業務に集中でき、事業スピードが上がります。また労務管理がととのった会社は採用力も上がるため、優秀な人材を集めやすくなるため、より一層事業に専念できるようになるでしょう。

メリット3
労使トラブルを防止できる

10人規模の企業であっても、人を雇用する限り労使トラブルは避けられませんが、小規模だからこそ、風評被害や裁判などのトラブルがあれば取り返しがつかなくなります。特に労働集約型の産業では注意が必要です。適正な労務管理を行い、トラブル予防の観点から施策を打つためにも、専門知識を持つプロによるアウトソーシングは有効です。


社労士からのワンポイント

もうひとつあげるとするなら、経営者や担当者が抱える「自己判断でいいのか」という不安解消でしょう。労働関連法規や社会保険制度などの改定を一担当者が把握・理解することはほとんど困難で、規定変更から労務ツールの設定変更などは、責任も含め大きな負担となっているはずです。専門家に任せることで、法令違反リスクを回避でき、「うちの会社は大丈夫」と安心することが可能です。

所長解説

上岡ひとみ経営労務研究所代表
特定社会保険労務士 上岡ひとみ

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労務管理アウトソーシングのタイミング

社員を10人から30人に一気に拡大するフェーズはまさに「勝負どき」でしょう。今、頑張らないといけないというときは、労務管理のアウトソーシングを考えるよいタイミングでもあります。

その時期の経営者は、すべての社内リソースを事業に注ぎ、労務管理ミスによるトラブルや小さな意思決定を減らす必要があります。また助成金申請や資金調達などをスムーズに行うためにも、法律に則った経営は絶対です。

【労務管理アウトソーシングのタイミング 現状チェックリスト】

以下のリストにひとつでも当てはまれば、社会保険労務士にご相談ください。

経営の状態

☑ 従業員全員に目配りできず、見落としや恐怖を感じている
☑ リスク回避や事業スピードの優先順位が、お金を上回っている
☑ 事業拡大のため、優秀な人材がほしい

労務管理の状態

☑ 個人事業主から法人成りした(する)
☑ 初めて人を雇うが、社会保険や労働保険の手続がわからない
☑ 初めて産休を取らせる
☑ 給与計算を社長や家族がやっているが手を離したい
☑ 女性活躍、若者活躍の認定マークを取得したい
☑ 労務担当者にミスが多く困っている
☑ 担当者の退職で何からやっていいか分からない
☑ 手続は社内でできるが、間違っていないかアドバイスだけほしい

採用と育成の状態

☑ 教育訓練の給付金を受給して、従業員に資格を取ってほしい
☑ 採用を進めたいが社内に専任者を雇うほどの余裕がない


社労士事務所だからこそ発見できる課題があります

起業したてや、小規模の企業では、社会保険手続を社内や顧問税理士で行っているケースも見受けられますが、本来は社会保険労務士が行う手続です。また手続を単なる書類提出で終わらせるのではなく、その過程にある潜在的な課題を発見できるのも社会保険労務士に依頼をするメリットです。

潜在的な課題を発見し、制度見直しがコストカットにつながった事例

とある顧問先企業で4月5月の出勤日数が多かったため、当事務所からご事情をお伺いすると、3月の退職者が多く穴埋めのための4月と5月の出勤が増えていたということが分かりました。算定の業務をおこなったところ、標準報酬月額が2等級以上、上がっている従業員さんが見受けられた。

そこで、1年平均の標準報酬を試算してみたところ、標準報酬月額が2等級下がる従業員が複数名いることが判明しました。「1年平均の標準報酬」を採ることの、メリットとデメリットのご説明を行い、手続きを行いました。

また、変型労働時間制度のご説明を行い、現在の当該企業様にあった、新たな変型労働時間制のご提案を行いました。これにより、効率のよい人員配置が可能になりました。

それ以外にも「育児休業のための助成金がほしい」というご依頼では、単なる申請手続で終わらせず、従業員への伝え方や手続に関する配慮について、さらには育児休業が取りやすく、助成金も通りやすい職場環境をつくってもらうところまでのトータルアドバイスを行っています。


労務管理アウトソーシングを失敗しないために

当事務所には「はじめて社労士事務所に依頼をする」「社労士事務所を乗り換える」企業さまからのご相談が多く舞い込みますが、その中でお聞きする失敗例には以下のようなものがあります。

  • すり合わせのないまま丸投げして、やってほしい業務をしてもらえなかった
  • 知識の少ない業者に依頼してしまい、助成金が取れなかった
  • 対応が遅く、事業スピードを上げたいというニーズに応えてもらえなかった
  • 大手事務所ではこちらから連絡して意見を求めないと何もしてもらえなかった

いまの会社規模に必要な労務管理の全体像が見えていない状態では、「手続だけ依頼できればいい」と思われるかもしれません。しかし長期的に付き合える社労士事務所があることで、会社の実情や経営者の考え方に沿った視点からの課題や、手続の抜け漏れが発見しやすくなります。

労務管理アウトソーシングを検討するときは以下を参考に探されてみてはいかがでしょうか。

☑ 依頼したい業務に関する実績が豊富
☑ ITツールを活用している
☑ レスポンスが早く、話している内容がわかりやすい
☑ 労務管理ツールの扱いに慣れていて、対応スピードが速い
☑ 自分が気付かない課題やアイデアを提案してくれる
☑ 依頼業務がない月にも情報提供をしてくれる
☑ 手続だけではなく根本改善のアドバイスをしてくれる


労務管理アウトソーシングが事業推進を後押しします

日本の人口動態を見れば、今年より来年、来年より再来年と、従業員の確保が難しくなっていくことは歴然です。労働時間を削減し事業効率を上げるには、工程や現場オペレーションの見直しによる労働時間の削減が一般的ですが、業務のアウトソーシングと、変形労働時間の見直しも大きな効果を上げます。

働き方の多様化も進み、長時間労働は社会に受け入れられなくなってきました。しかし最低賃金は上がり、経営環境の厳しさは増しています。業務過多やリスク回避の根本改善策として、労務管理アウトソーシングの活用も視野に入れてみてください。


労務相談アウトソーシングなら、プロに任せてみませんか

社外に依頼するときは、その道のプロに任せなければ意味はありません。
実績と専門性を求めるなら、当事務所にご依頼ください。

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特定社会保険労務士 上岡ひとみ

上岡ひとみ経営労務研究所代表
特定社会保険労務士 上岡ひとみ

労務管理アウトソーシングは、10人規模の企業にとっては大きな決断です。しかし長い目で見たときに「あの時実施してよかった」と思っていただくための、企業経営の根幹を支えるお手伝いをしております。外部環境の変化に敏感に対応できる、勇気ある経営者様のお役に立てるよう尽力しております。一度お問い合わせください。

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