SNS炎上が引き起こす法的リスクと企業対応

ある社員の不適切投稿が、会社の命取りになる時代です。
SNS上のたった1回の投稿が、会社の信用を失墜させ、経営そのものを揺るがす大問題に発展することがあります。「うちの会社は大丈夫」と安易に考えていませんか?今、従業員個人のSNSリスクに備えることは、企業の喫緊の課題です。
企業の経営リスクとなる法的問題
職場の同僚に対するSNS上での不適切投稿は、名誉毀損(刑法230条)やプライバシー侵害といった個人の責任にとどまらず、企業の法的・社会的リスクに直結します。
実名や特定可能な形で同僚を中傷した場合、個人の刑事責任や民事上の損害賠償責任が発生するだけでなく、企業はコンプライアンス意識の欠如とみなされ、厳しい目が向けられます。それにより、社会的信用の失墜、採用活動への悪影響、株価の下落など、金銭では測れない損害につながります。
さらに、不適切投稿が、職場のハラスメントとして労働問題に発展すると、パワーハラスメント防止措置義務違反(労働施策総合推進法)として行政指導や訴訟リスクを抱えることになります。適切な対応を怠ると、企業が責任を問われるリスクも高まります。
安易な対応が招く新たなリスク
企業には懲戒処分を行う権限がありますが、その判断には慎重さが求められます。
職場秩序維持の観点から、同僚間の人間関係悪化は業務遂行に直接影響するため、私生活上の投稿であっても企業の規制権限が及びます。ただし、処分は比例原則に基づき、投稿内容の悪質性や影響範囲、本人の反省度などを総合的に判断しなければ、不当解雇として逆に従業員から訴えられるリスクがあります。安易な自己判断は、さらなる法的リスクにつながりかねません。
リスクを未然に防ぐために
従業員のSNS利用に関して、就業規則での明文化や定期的な研修を通じて、従業員への周知徹底を図ることが、今や企業の危機管理に不可欠な対策です。しかし、そのルールが法的に有効であるか、またトラブル発生時の対応が適法であるか、判断は非常に複雑です。経営判断を誤らないためにも、専門家にご相談いただくことを強くお勧めします。
当事務所では、企業のSNSトラブル対応からハラスメント問題の予防策まで、経営者の皆様の疑問にお答えします。まずはお気軽にご相談ください。