採用時に提出してもらう書類について

2023年10月31日

そろそろ新年度が近づいてきましたが、今回は従業員を採用するときに提出してもらう書類について説明します。

採用時に提出してもらう書類は会社によっても異なりますが、一般的には次のような書類があります。

※ここでは正社員を採用する場合に、多くの会社で提出を求めている書類について説明しています。(社会保険など各種の手続き上、必ずしも必要ではない書類もあります。)

1. 入社誓約書

入社にあたって、あらかじめ、就業規則やその他の諸規程を守り、かつ、業務命令に従って誠実に勤務することを確認するために提出してもらいます。

2. 身元保証書

入社する者が会社に損害を与えた場合に、その損害について連帯して責任を負う者を立ててもらうためのものです。

なお、この身元保証書を緊急連絡先として考えている会社もありますが、本来、この書類は身元保証契約書であり、有効期間(期間を定めなければ成立の日から3年、定める場合は最大5年)があります。また、昨年4月施行の改正民法によって、賠償額の上限を定めなければ無効になりますので注意してください。

3. 雇用契約書(会社控)

雇用(労働)条件を確認したうえで、会社控分に署名、押印のうえ提出してもらいます。会社として労働条件通知書で整理している場合には、会社から渡すだけですので提出してもらう必要はありません。

4. 住民票記載事項証明書

入社する者の氏名、性別、生年月日、現住所を確認するために提出してもらいます。

なお、行政通達では、採用時に住所などを確認するために提出を求める書類としては、戸籍謄(抄)本や住民票の写しではなく、必要最低限な情報のみ記載された住民票記載事項証明書とすべきとされています。

5. マイナンバーが確認できる書類

社会保険やその他の手続き上、入社する者、また、配偶者や子どもなどの被扶養者がいる場合にはその方々のマイナンバーが必要になりますので、次の①または②の書類を提出してもらいます。(会社はマイナンバーを取得する際には本人確認を行う必要があります。)

①マイナンバーカードの写し(これだけで本人確認可)

②通知カード(令和2年5月25日に廃止)またはマイナンバーが記載された住民票記載事項証明書など。入社する者については、さらに本人確認書類として、運転免許証パスポー

などの写しも必要。

※被扶養者の本人確認は基本的に入社する者に行ってもらいますので、被扶養者が②の書類を提出する場合には本人確認書類は不要です。(厳密に言えば、国民年金の第3号被保険者関係届(マイナンバーの記入あり)の提出義務者は配偶者自身であるため、配偶者については本来、会社で本人確認をしなければなりません。ただし、実務的には入社する者を配偶者の代理人として入社する者に本人確認を行ってもらうことが一般的です。)

なお、これまでは年金手帳(あるいは写し)を提出してもらっていましたが、マイナンバーがあれば、原則として基礎年金番号が必要になることはありませんので、マイナンバーの提供を拒否された場合を除いて年金手帳を提出してもらう必要はありません。

6. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

入社する者に配偶者や子どもがいるかどうかにかかわらず、所得税を計算する際に、扶養控除や障害者控除などの諸控除の適用があるのかどうかを確認するために提出してもらいます。

7. 給与振込先届兼振込同意書

給与を振り込む金融機関の名称や口座番号、名義などを確認するために、会社で定めた様式で提出してもらいます。

なお、労働基準法上、賃金は原則として通貨で直接労働者に支払わなければならないことになっていますので、給与を銀行口座に振り込む場合には、建前上、その者の同意を得なければなりません。

8. 各種手当の申請書

通勤手当や住宅手当などの各種手当を支給するために、会社で定めた様式で提出してもらいます。

9. 健康診断書

健康診断は入社後に指定の医療機関で受診させることもありますが、会社によっては、入社前に自身で受診させて、その健康診断書を提出してもらうこともあります。

仮に、入社前3か月以内に健康診断を受診していて、雇入れ時の健康診断の項目を網羅している場合にはその健康診断書を提出させても構いません。

10. 卒業証明書・成績証明書

基本的には入社する者が新卒者(場合によっては第2新卒者も含む)である場合が対象ですが、最終学歴のものを提出してもらいます。

11. 運転免許証・各種資格の合格証書の写し

入社する者の職種が資格を有するものである場合に、その資格があることを確認するために提出してもらいます。

12. 雇用保険被保険者証

前職がある者が対象ですが、雇用保険の手続きで必要な被保険者番号を確認するために提出してもらいます。

13. 源泉徴収票

こちらも前職がある者のみが対象ですが、年末調整のために前の勤務先で受け取っている源泉徴収票を提出してもらいます。

ただし、前の勤務先を退職した翌年に入社する者については、年末調整に影響しませんので提出してもらう必要はありません。

総務担当の方であれば、必要な書類についてはリストアップされているかと思いますが、いまいちど遺漏にないようご確認ください。