社会保険に加入したくないパート従業員の雇用管理

2023年10月31日

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労務相談

Q. パート従業員として採用を考えている者が社会保険に加入せずに働きたいと言っているのですが、どのように雇用管理を行えば良いでしょうか?

A. パートやアルバイトとして採用を考えている者から、夫(妻)の扶養内で働きたい、あるいは、手取り額が減るなどの理由から、社会保険に加入せずに働きたいと言われることもあるかと思いますが、一定の要件を満たせば、その者の希望にかかわらず、会社としては必ず社会保険に加入させなければなりません。


社会保険の加入要件

ここでは、社会保険を健康保険と厚生年金保険として説明しますが、パートやアルバイトであっても1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が、正社員などのフルタイム労働者の4分の3以上である場合には、必ず社会保険に加入させなければなりません。

また、この4分の3要件を満たさなくても、特定適用事業所(社会保険の被保険者となっている従業員が501人以上である事業所)などである場合には、週の所定労働時間が20時間以上であるなど、その他一定の要件を満たす場合には社会保険に加入させなければならないことになっています。

つまり、パートやアルバイトを社会保険に加入せずに働いてもらうためには、上記の要件を満たさないように1週の所定労働時間や1月の所定労働日数などを調整する必要があるということです。


社会保険に加入させなければならないパートやアルバイトをあらためて整理すると、まずは、1週間の所定労働時間および1月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事している正社員などのフルタイム労働者の4分の3以上である方です。

また、1週の所定労働時間や1月の所定労働日数が正社員などフルタイム労働者の4分の3未満である場合であっても、次の5つの要件を全て満たす方であれば、社会保険に加入させなければなりません。

  1. 社会保険の被保険者(短時間労働者を除く)の総数が501人以上の事業所(特定適用事業所)に勤めている、あるいは、社会保険の被保険者(短時間労働者を除く)の総数が500人以下である事業所で、短時間労働者が社会保険に加入することについて労使で合意し、申し出を行っている事業所(任意特定適用事業所)に勤めていること。
  2. 週の所定労働時間が20時間以上であること。
  3. 雇用期間が1年以上見込まれること。
  4. 賃金月額が8万8千円以上(年間で約106万円以上)であること。
  5. 学生でないこと。

採用を考えているパートやアルバイトが社会保険に加入したくないということであれば、上記の要件に該当しないように働いてもらう必要があります。

上記の特定適用事業所または任意特定適用事業所でなければ、4分の3ルールだけが適用になりますので、仮に、正社員などのフルタイム労働者の1週間の所定労働時間が40時間で、1月の所定労働日数が20日である会社であれば、パートやアルバイトを社会保険に加入させないためには、1週間の所定労働時間を30時間(40時間×3/4)未満にするか、1月の所定労働日数を15日(20日×3/4)未満になるようにしなければなりません。 さらに、特定適用事業所または任意特定適用事業所に該当する場合には、加入要件が引き下げられていますので、週の所定労働時間を20時間未満にするなどの調整が必要になりますのでご注意ください。

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