ハラスメント・ハラスメント(ハラハラ)の対応方法
Q.最近、些細なことでパワハラやセクハラなどの各種ハラスメントを受けたと主張する社員が増えてきています。状況を確認すると、各種ハラスメントに該当するとまでは言えないような事例であることがほとんどなのですが、このようにすぐに各種ハラスメントを受けたと主張する社員についてどのように対応すればよいでしょうか?
A. 各種ハラスメントに該当する事例については、厚生労働省が作成しているリーフレットなどにも列記されてはいますが、「ハラハラ」を防止するためには、会社としてより詳細に具体例を示してどのような言動や行動が各種ハラスメントに該当するのかを、管理監督者を含むすべての社員に周知し、継続的に研修会などを開催していくことが必要になります。
「ハラスメント・ハラスメント」(略して「ハラハラ」)について
各種ハラスメントの認知と加害者への処分
社員が各種ハラスメントについて声を上げやすくなったのは、関係法(労働施策総合推進法や男女雇用機会均等法、育児・介護休業法など)により、事業主が各種ハラスメントを防止するための措置を講じることが義務になったこと。
また、毎日のようにどこかの会社で各種のハラスメントがあり、加害者側の社員に厳しい処分が下されたなどの報道がなされていることで、世間一般的に各種ハラスメントは絶対に許されない行為であるということが広く認識されるようになったからではないかと思います。
ハラハラの蔓延
そのような流れもあり、最近では、本当に被害者であるのかどうか怪しい社員が、ほんの些細な事で各種ハラスメントを受けたと過剰に主張する者が増えてきており、このような過剰な主張を「ハラスメント・ハラスメント」(略して「ハラハラ」)と言うようになってきています。
この「ハラハラ」が発生する原因としては、まず、過剰に主張する社員自身が、具体的にどのような事例が各種ハラスメントに該当するのかを理解できておらず、何でもかんでも嫌がらせのように主張すれば、その加害者側とされる社員が処分されると思い込んでいることが考えられます。
さらに詳しく…
事業主に課せられる各種ハラスメント防止措置とは
各種ハラスメントの対応について、まず、前提として事業主は、関係法(労働施策総合推進法や男女雇用機会均等法、育児・介護休業法など)や厚生労働省が定める指針などにより、次の措置を講じなければならないとされています。
1.各種ハラスメントの対応について
- 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
- 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
- 職場における各種ハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
- そのほか併せて講ずべき措置
※いわゆる「マタニティーハラスメント」の場合には、左記のほか、「職場における妊娠、出産等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置」も講じなければなりません。
2.ハラスメント対応における従業員に対する周知
会社が、上記についてきちんと対応していれば、恐らく「ハラハラ」が増加することはないでしょうが、「ハラハラ」が増加しているということは、上記の対応が不十分なのではないかと思われます。「ハラハラ」を増加させないということだけにポイントを絞れば、次の点について全従業員に丁寧に周知することが必要です。
- 会社として、どのような事例が各種ハラスメント該当するのかをまとめ、管理監督者を含むすべての従業員に周知する。
- あらためて会社には各種ハラスメントに関する相談窓口があることを周知し、各種ハラスメントに該当するのかどうか微妙と思われる場合には相談窓口に確認させる。
ただし、会社が上記の対応を丁寧に行ったとしても、社員には色々な考えを持つ者がいますので、「ハラハラ」は完全に防ぐことはできないでしょう。仮に、その者とのトラブルが裁判にまで発展し、その者の主張が認められることにでもなれば、会社や加害者側の社員に損害賠償命令が下されることも考えられます。最近では、各保険会社が各種ハラスメント問題による損害賠償や慰謝料、訴訟費用などを補償する保険も出てきています。万一に備えてこれらの保険に加入しておくことも検討すべきでしょう。
各種ハラスメントに関する法改正の内容や具体的な対策などについて詳しくは、厚生労働省のホームページでご確認ください。
職場におけるハラスメントの防止のために
(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)/厚生労働省
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