【中小企業】賃上げ促進税制について

2023年10月31日

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Q. 会社が従業員の給与を上げた場合にはその増加額の一部を法人税から控除できる制度があるとのことですがその制度が令和4年度から見直されたと聞きました。最新の制度の内容を教えてください。

A. お問い合わせの制度は、令和4年度で言えば、「賃上げ促進税制」というもので、会社が従業員の給与や賞与などの支給額を前年度よりも引き上げた場合に、その増加額の一部を法人税(個人事業主の場合には所得税)から控除できるという制度になります。

令和3年度までは、同様の趣旨の制度として、中小企業向けの「所得拡大促進税制」、大企業を含む全企業向けの「人材確保等促進税制」というものがありましたが、令和4年度の税制改正によって、中小企業主向けの「賃上げ促進税制」と、大企業向けの「賃上げ促進税制」の2つとなり(※)、控除できる最大割合がアップされるなどの見直しが図られています。

※制度の名称はどちらも同じになりましたが、適用要件や控除率などは異なります。

中小企業向けの「賃上げ促進税制」について

中小企業向けの「賃上げ促進税制」については、従業員数が1,000人以下である個人事業主なども対象となりますが、中小企業に絞ってこの制度を簡単に説明すると、会社が従業員の給与や賞与などの支給額を前年度と比べて1.5%以上増加させると、その割合に応じて、増加した額の15%~40%(旧制度の「所得拡大促進税制」では15%~25%)を法人税から控除できるというものになります。

もし、昨今の流れで従業員の給与や賞与などをアップしようと考えているのであれば、この制度の活用をご検討ください。


さらに詳しく…

中小企業向けの「賃上げ促進税制」における適用期間、要件等について

中小企業向けの「賃上げ促進税制」における中小企業の定義や適用期間、適用要件などついては次のように整理されています。

中小企業の定義

この制度における中小企業とは、青色申告書を提出する法人のうち、原則として以下のいずれかに該当する法人とされています。

  • 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人
  • 資本または出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員数が1,000人以下の法人

適用期間

令和4年4月1日から令和6年3月31日までの期間内に開始する事業年度

事業年度は会社によって異なりますが、仮に事業年度を4月1日から翌年の3月31日まで(3月決算)としている会社であれば、令和4年の4月1日から令和5年の3月31日までの1年間、あるいは、令和5年の4月1日から令和6年の3月31日までの1年間で、下記③の要件を満たせば、この制度を利用できます。

適用要件・控除率

適用要件 控除率 最大40%
通常要件 従業員の給与や賞与などの支給額が前年度と比べて1.5%以上増加 15%
上乗せ要件1 従業員の給与や賞与などの支給額が前年度と比べて2.5%以上増加 +15%
上乗せ要件2 教育訓練費の額が前年度と比べて10%以上増加 +10%

上記の控除率とは、法人税額に対する割合ではなく、給与や賞与などの増加額に対する割合です。また、この割合は最大で40%になりますが、実際に法人税額から控除できる上限額は法人税額の20%の額となっています。

申請手続き

この制度を利用するに当たって、事前に税務署の認定を受けたり、申請書を提出したりする必要はありませんが、法人税の確定申告書を提出する際に、指定された別表などを作成、提出する必要があります。

※中小企業向けの「賃上げ促進税制」について詳しくは
参考 中小企業向け「賃上げ促進税制」※旧、中小企業向け「所得拡大促進税制」/中小企業庁

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