医師の2024年問題について

2023年10月31日

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医師の2024年問題について

Q.医師の2024年問題とは何ですか?、具体的に教えてください。

A. 政府の働き方改革によって導入された時間外労働の上限規制が、2024年4月1日から医療機関に勤務する医師にも適用になること、また、各医療機関においてはこれに対応するために各種の対策を講じなければならないことを指します。

働き方改革によって導入された時間外労働の上限規制について

医療機関に勤務する医師など、恒常的に時間外労働が多く、人材不足でもある職種、業務、業界(医療機関の他、建設事業および自動車運転の業務)で従事する労働者において、時間外労働を削減していくためには様々な業務効率化の取り組みを進めていくことが必要です。

時間外労働の上限規制は、一般業種の大企業については2019年4月1日から、中小企業については2020年4月1日から既に適用されています。
自動車運転の業務や建設事業、医療機関に勤務する医師などについては、恒常的に時間外労働が多く、人材不足でもあることから、一般業種の大企業への適用から5年間適用が猶予されており、2024年4月1日から適用されることになっています。

医師の働き方改革推進について

医師に時間外労働の上限やその他の働き方改革をどのように適用するのかについては、2017年8月から2019年3月まで厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」において議論され、さらに制度設計の詳細を詰めるため、2019年7月からは「医師の働き方改革の推進に関する検討会」で議論されており、2020年12月には「中間とりまとめ」が公表されました。

医師に適用される時間外労働の上限

「中間とりまとめ」による、医師に適用される時間外労働の上限は、

  1. 時間外労働の上限は、労働基準法上、原則として月45時間・年360時間です。(一般労働者と同じ)
  2. 臨時的な特別の事情があって労使間で合意がある場合(特別条項を付記した36協定を締結する場合)の上限は、
    原則として年960時間・月100時間、一定の要件を満たす医師については、年1,860時間・月100時間とされています。

さらに詳しく…

医師の時間外労働の上限

「医師の働き方改革の推進に関する検討会」の「中間まとめ」では、医師の時間外労働の上限は具体的に次のような整理になっています。

区分 対象となる医療機関 時間外労働の上限
診療従事勤務医に
2024年度以降適用される水準
(原則)
A水準 原則、すべての医療機関 年960時間・月100時間
(例外あり)
※いずれも休日労働含む
地域医療確保暫定特例水準
(例外)
※2035年度で廃止予定
B水準 三次救急や救急搬送の多い
二次救急、がん拠点病院など
年1,860時間・月100時間
(例外あり)
※いずれも休日労働含む
連携B水準 医師派遣を通じて、地域医療確保のために必要な役割を担う医療機関 副業・兼業先での労働時間を
通算して年1,860時間・月100時間
(例外あり)
※いずれも休日労働含む
※個々の医療機関における
時間外労働の上限は年960時間
集中的技能向上水準
(例外)
C-1水準 初期研修医、専門医資格を目指す
専攻医を雇用する医療機関
年1,860時間・月100時間
(例外あり)
※いずれも休日労働含む
C-2水準 特定高度技能の獲得を目指す
医師を雇用する医療機関

さらに、上記の区分(水準)ごとに、次のような健康確保措置を講じる義務または努力義務があるとされていますので注意が必要です。

健康確保措置 36協定の月上限 連続勤務時間制限(28時間)・
勤務間インターバル(9時間)・
代償休息
面接指導・
就業上の措置
医療機関の状況
A水準適用者のみ医療機関 100時間未満 努力義務
100時間以上 義務
B水準・連携B水準指定ありの医療機関 100時間未満 B水準・連携B水準対象者は義務
100時間以上 義務
C-1水準・C-2水準指定ありの医療機関 100時間未満 C-1水準・C-2水準対象者は義務
100時間以上 義務

医師の働き方改革の推進に関する検討会の「中間まとめ」について

厚生労働省(医師の働き方改革の推進に関する検討会)の「中間まとめ」について詳しくは、厚生労働省のホームページでご確認ください。

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