医師の2024年問題、医療機関に求められる対応

2023年10月31日

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医師の2024年問題、医療機関に求められる対応

Q.医師の2024年問題に対して医療機関がいまやっておくべきこと何ですか?

A. 政府の働き方改革の1つである時間外労働の上限規制2024年4月1日から医師にも適用(原則として年960時間・月100時間、一定の要件を満たす医師については年1,860時間・月100時間)になる、いわゆる医師の2024年問題に医療機関が対応していくためには様々な準備が必要になります。

働き方改革によって導入された時間外労働の上限規制について

各医師の労働時間を正確に把握するなど、適切な労務管理を行うことはもちろんですが、そのほか、医師が健康で安心して働くことができる環境を整備していかなければなりません。

年間の時間外・休日労働時間数が960 時間を超える医師がいる医療機関については、B水準・連携B水準およびC-1水準・C-2水準の医師として適用を受けるために都道府県に「医師労働時間短縮計画」という書類の提出が必要になりますので注意が必要です。

※医師の2024年問題の概要については、別のQ&A(医師の2024年問題)をご覧ください。


さらに詳しく…

医師の労働時間短縮のために医療機関が取り組むべきこと

医師の労働時間を短縮させるためには、行政側でも様々な体制を整備していかなければなりませんが、医療機関が取り組むべきこととしては、厚生労働省の「医師の働き方改革の推進に関する検討会 中間とりまとめ」では次の事項が挙げられています。

適切な労務管理の実施等に関する事項

雇用する医師の適切な労務管理を実施するとともに、自院における医師の働き方改革の取り組み内容について院内に周知を図るなど、医療機関を挙げて改革に取り組む環境を整備すること。

タスク・シフト/シェアの具体的な業務内容に関する事項

各医療機関の実情に合わせ、各職種の職能を活かして良質かつ適切な医療を効率的に提供するためにタスク・シフト/シェアを行う業務内容と、当該業務を推進するために実施する研修や説明会の開催などの方策を講ずること。

医師の健康確保に関する事項

  1. 医師の副業・兼業先の労働時間を把握する仕組みを設け、これに基づいて連続勤務時間制限及び勤務間インターバルを遵守できるような勤務計画を作成すること。
  2. 副業・兼業先との間の往復の移動時間は、各職場に向かう通勤時間であり、通常は労働時間に該当しないが、遠距離の自動車の運転などで休息がとれないことも想定されることから、別に休息の時間を確保するため、十分な勤務間インターバルが確保できるような勤務計画を作成すること。
  3. 災害時などに追加的健康確保措置を直ちに履行することが困難となった場合には、履行が可能となり次第速やかに十分な休息を付与すること。

各診療科において取り組むべき事項

  1. 各診療科の長などは各診療科の医師の労働時間が所定時間内に収まるよう管理責任を自覚し、必要に応じて業務内容を見直すこと。
  2. タスク・シフト/シェアの観点から業務を見直し、他の医療専門職種などと協議の場を持ち、効率的な業務遂行に向けた取り組みを計画し実行すること。

「医師労働時間短縮計画」のPDCAサイクルにおける具体的な取り組みに関する事項

医師を含む各職種が参加しながら、年1回のPDCAサイクルで、労働時間の状況、労働時間短縮に向けた計画の策定、取り組み状況の自己評価を行うこと。

「特定高度技能研修計画」に関する医療機関内における相談体制の構築(C水準関係)

「特定高度技能研修計画」と実態が乖離するような場合に対応できるよう、医療機関内において医師からの相談に対応できる体制を構築すること。

「医師労働時間短縮計画」とは

2024年4月からB水準・連携B水準およびC-1水準・C-2水準の指定を受けるためには、「医師労働時間短縮計画」というものを都道府県に提出し、都道府県での労働時間の状況や追加的健康確保措置の実施体制などの確認に加えて、医療機関勤務環境評価センターの評価を受けなければならないことになっています。

「医師労働時間短縮計画」は、B水準・連携B水準およびC-1水準・C-2水準の指定を受ける予定のない医療機関(※)を含めて年間の時間外・休日労働時間数が960 時間を超える医師が勤務する医療機関であれば、まず、2023年度末までの計画(計画の始期は任意の日)について作成、提出に努める(努力義務)こととされています。

2024年度以降にB水準・連携B水準およびC-1水準・C-2水準の指定を受けることを予定している医療機関であれば、実質的には必ず提出しておく必要がありますので注意が必要です。

※現状は年間の時間外・休日労働時間数が960 時間を超える医師がいても2023年度末までには960時間未満に抑える予定の医療機関

ちなみに、2024年度以降の「医師労働時間短縮計画」の作成、提出対象となる医療機関は、B水準・連携B水準およびC-1水準・C-2水準の指定を受けている医療機関に限定され、計画の始期は2024年4月1日とし、終期は始期から5年を超えない範囲内の任意の日で作成、提出することになります。

「医師労働時間短縮計画」について詳しくは、厚生労働省のホームページでご確認ください。(今後、変更になる可能性もあります。)

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