労災事故を発生させたことによるペナルティ

2023年4月7日

労災事故
労災事故

Q.弊社では、この2か月間で3件の労災事故(従業員が軽いけがを負う程度のもの)を発生させてしまったのですが、頻繁に労災事故を発生させると、何かペナルティなどはあるのでしょうか?

A. 会社が頻繁に労災事故を発生させた場合の代表的なペナルティとしては次の2つが挙げられます。

  1. 労災保険料が上がる可能性がある。
  2. 労働基準監督署の立ち入り検査が実施される可能性がある。

いずれにしても、御社としては労災事故が頻発した原因を特定し、これ以上、労災事故が発生しないように対策を講じる必要があります。

労災事故に対するペナルティとは

労災保険料が上がる可能性がある。

100人以上の従業員がいる会社や、その他の要件に該当する会社には、過去3年間における労災保険給付の受給実績などに応じて、労災保険料を上げ下げ(原則±40%の範囲)する「メリット制」という制度が適用されることになっています。
この制度により、頻繁に労災事故を発生させる(正確には多額の労災保険給付を受給している)と、労災保険料が高くなる可能性があります。
中小企業ではこの「メリット制」自体が適用されないことも多いです。

もし適用されたとしても、御社のように3件程度の軽い労災事故を発生させたくらいでは労災保険料が大きく変わることはありません。

労働基準監督署の立ち入り検査が実施される可能性がある。

頻繁に労災事故を発生させると、労働基準監督署の立ち入り検査が実施されることがあります。
この労働基準監督署の立ち入り検査は、労働基準監督署が頻繁に労災事故を発生させている会社の問題点を見付け出し、それを排除することで労災事故の発生率を低下させることを目的としているものです。
この立ち入り検査により重大な法律違反が発見された場合には、最悪の場合、書類送検されることもあり得ます。

ただし、御社のように現状、3件程度の軽い労災事故を発生させたという状況では、まず、立ち入り検査が実施される可能性は少ないでしょう。


労災事故を発生させた場合のペナルティー

刑事罰

労災事故によって従業員が死亡したり、重傷を負ったりしたときに、会社側が従業員に危険な働かせ方をしていたことに原因があると判断される場合には、会社やその責任者に対して刑事罰(労働安全衛生法違反、業務上過失致傷罪、業務上過失致死罪など)を科される可能性があります。

行政処分

国や都道府県の許認可を受けている業種の会社で重大な労災事故が発生した場合には行政処分の対象になる可能性があります。

指名停止処分(入札参加企業)

国や自治体の業務の入札に参加している会社で重大な労災事故が発生した場合には指名停止処分を受ける可能性があります。

該当従業員からの損害賠償請求

労災保険から支払われる各種の保険給付は、該当従業員が労災事故で被った損害のすべてを補てんするには不十分であることもあります。ペナルティとは少し意味合いが異なりますが、労災事故が発生したことについて、会社の安全配慮義務違反や使用者責任が問われる場合には、該当従業員から会社に対して損害賠償を請求される可能性があります。

悪質な「労災かくし」は犯罪です

従業員が死亡または4日以上休業する労災事故が発生した場合には、直ちに「労働者死傷病報告」という書類を労働基準監督署に提出しなければならないことになっています。

しかし、上記のようなペナルティを科されることや、対外的な会社のイメージダウンを恐れて、「労働者死傷病報告」を故意に提出しなかったり、虚偽の内容で提出したり、また、該当従業員に健康保険で治療をするように指示を出す悪質な会社もあります。

これはいわゆる「労災かくし」と言われていますが、これを行うと、労働安全衛生法第120条により、50万円以下の罰金に処される可能性がありますので、労災事故が発生すれば、隠さず正直に報告するようにしてください。
※従業員が4日未満の休業をする労災事故が発生した場合には、一定期間ごとに発生した労災事故をとりまとめて報告することになっています。

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